株式会社ティムス(東京都府中市府中町1丁目9番地、代表取締役社長 若林拓朗)が開発を進めるTMS-007 が、急性期脳梗塞治療の新たな治療選択肢として期待が高まっている。「カビ由来の革新的新薬」として世界中から注目され、同社が国内で実施した臨床試験では、安全性はもとより、血栓溶解を進めつつ脳保護的に働くことを示唆。既存薬の投与時間制限を上回る好結果となり、ますます希望が膨らんでいる。
カビから生まれた薬といえば、世界初の抗生物質「ペニシリン」がなにより有名だ。1928年にイギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングが、青カビから発見。細菌感染症の治療に革命をもたらし、多くの命を救った。
ペニシリンの誕生から約100年。西表島で発見された黒カビから血栓溶解促進作用を発見し、脳梗塞治療の新薬TMS-007が開発中だ。ペニシリンに続く画期的新薬として世界から注目を集めている。
脳卒中は日本人の死因第4位の重大疾患で脳卒中の大半を占めるのが脳梗塞だ。脳の血管が詰まり、血流が十分に脳細胞に行き渡らなくなって半身麻痺やひいては脳細胞が死んでしまうのが脳梗塞。発症後の後遺症は、介護負担や医療費増大の観点からも超高齢社会の日本においては大きな負担であり医療課題ともいえる。
脳梗塞に用いられる薬は、原則発症後4.5時間以内に投与が限られている。しかし、開発中の新薬TMS-007は、臨床試験において12時間の枠で行い、平均的な薬剤の投与時間は脳梗塞発症9時間程度。プラセボ群と比較しても脳出血などの副作用は増加しなかったという。従来の制限時間の壁を大幅に超えた、治療可能時間の拡大が大いに期待できる。
また、後遺症を抑える効果にも期待が。脳梗塞発症90日後に後遺症のない状態(患者の自立度の尺度モディファイド・ランキン・スケールmRS で0-1)まで回復した患者の割合は、プラセボ18.4%に対し、TMS-007投与群では40.4%と、数字を見てもその有意性は高い。これまでの薬にはなかった「血栓を溶かしながら脳を守る」という血栓溶解と抗炎症の独自メカニズムがあり、異なるアプローチが可能になるという。
現在は、20ヶ国に及ぶ大規模な国際臨床試験(ORION試験)において、投与時間を発症後最大24時間までに拡大し、結果を検証中だという。従来薬の治療可能時間を約5倍に延長する革新性は医療現場にも大きな変化をもたらすだろう。
専門家であり同社の取締役会長 農学博士の蓮見惠司氏は次のようにコメントしている。
「ぺニシリン発見から約100年、カビは今も人類を救い続けています。フレミングがアオカビから抗菌作用を見出したように、私たちは西表島の黒カビから血栓溶解促進作用を発見しました。微生物は長い進化の過程で多様な化合物を生み出してきました。その中には、人類が直面する医療課題 を解決する鍵が隠されています。このような探索研究は画期的な医薬品を生む強力な武器であり、 TMS-007の発見と開発もその系譜に連なる成果だと考えています」
また、東北大学大学院 医工学研究科 神経再建医工学分野 新妻邦泰氏は、
「SMTP化合物はカビが生産する天然物で、血栓溶解に加え抗炎症・抗酸化など“脳を守る”多面的 作用を併せ持つ血栓溶解薬として、従来薬とは異なるアプローチが可能です。脳梗塞は時間との闘 いで、治療の遅れが後遺症に直結します。私自身、動物モデルで顕著な効果を確認し、国内の前 期第2相試験にも携わりました。治療可能時間を拡げ、より多くの患者さんに届ける新しい選択肢と して、早期の実用化と国際試験の成功を期待します」
と言葉を寄せた。
新薬TMS-007の早い実用化が待たれる。