夏の暑さが容赦なく身体を包み込む季節になると、なぜか無性に恋しくなる一品。それが、冷やし中華。
色とりどりの具材が美しく盛り付けられた皿の上に、キンキンに冷やされたコシのある中華麺。甘酸っぱいタレが食欲を一気に呼び覚まし、暑さでぐったりとした身体に、爽やかな活力を吹き込んでくれる。日本の夏に欠かすことのできない、まさに「夏の風物詩」と言える絶品グルメだ。「冷やし中華はじめました」夏の入り口にそんな貼り紙を目にすると、思わず心が躍ってしまうという方は筆者だけではないはずだ。
醤油ベースのキリッとした王道タイプ、ゴマだれの濃厚クリーミータイプ、塩ベースの上品な仕上がり、酢の効いた爽やか系まで、冷やし中華と一言で言っても、その表情は実に多彩。ハム、錦糸卵、きゅうり、トマト、もやし、紅生姜などの具材がそれぞれの店の個性を引き立て、それぞれのお店で異なった特徴があるというのも、嬉しいポイントだ。
日本各地にキラ星のごとく存在しているお店の中から、今回は東京・銀座に鎮座する最高のお店をご紹介したい。お店の名前は「萬福」だ。
・大正末期から続く、銀座の生き字引、それが老舗町中華「萬福」
「萬福」の創業は、なんと昭和元年(1926年)。昭和元年(1926年)といえば、大正15年12月25日に大正天皇が葉山御用邸において崩御されたため、たった1週間しか存在しなかった年。
初代店主が屋台として始めたのが、その始まり。そして昭和4年(1929年)、現在の銀座2丁目に店舗を構え、それから約100年にわたって、三代にわたって暖簾を守り続けてきた。
大正、昭和、平成、令和と4つの時代を生き抜き、100年近くの間、銀座の街と共に歩み続けてきた、まさに「東京屈指の老舗町中華」中の老舗が「萬福」なのだ。
・1年中提供されている「冷やしそば」それが「萬福」の流儀
メニューを開けば、萬福の看板メニュー「中華そば」をはじめ、餃子、シュウマイ、炒飯など、王道の町中華メニューが堂々と並んでいる。そして夏の暑い日に絶対に外せないのが、こちらのお店の「冷やしそば」だ。
こちらのお店では「冷やし中華」ではなく「冷やしそば」と呼ばれている。そしてこの「冷やしそば(醤油味)」は年中休まず提供されているのも萬福ならではの特徴。
「冷やし中華はじめました」の貼り紙がない代わりに、四季を問わず、いつでも素晴らしい味わいを楽しむことができる。もちろん夏に味わう「冷やしそば」は格別だ。
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