日本年金機構が、またしても個人情報をめぐる不祥事を引き起こし、ネット世論の怒りが爆発している。

19日の『ニュース7』(NHK)の報道によれば、「日本年金機構」は去年8月、500万人分のマイナンバーや配偶者の年間所得額などの個人データの入力業務を、東京・豊島区にある「情報処理会社」に委託。しかし、この会社が契約に違反し、データの一部を「中国の業者」に渡して入力業務を任せていたというのだ。

これらのデータは公的年金の受給者が所得税控除のために、年金機構側に提出した大切なプライバシーそのものである。個人情報を保護する観点からも、別の業者への孫請け委託などありえない。もちろん年金機構とこの情報処理会社の間の契約でも、その点は禁止されていたはずだった。

厚生労働省によれば「いまのところ個人情報の外部流出は確認されていない」というが、この委託業者はつい13日にも、年金機構のデータを入力せずに放置していたことが判明している。そのせいで6万7000人もの受給者が所得税控除が受けられなくて、本来受給するより少ない年金しか受け取れていない実害にあっている。そんな得体の知れない、企業倫理も怪しい業者が、情報漏洩しない保証はどこにもないのである。

このニュースを受けて、SNS上では怒りと不安が爆発している。「こうなるからマイナンバーなんて嫌だったんだ!」「今まで払った年金すぐに耳を揃えて返せ。責任取れよ」「最近、年金機構をかたる、振り込め詐欺が急増してるのは関係あるんじゃない? 超怖いんですけど…」「よりによって中国!? 国民の個人データをわざと流出させてる誰かがいるんじゃないの?」などといった書き込みで溢れた。

マイナンバーが他人に知られたとしても、すぐに他人が預金口座を開設したり、お金を借りられるというワケではない。マイナンバーは何重かのロックの一つのキーである。だが、今回のように個人データとともに流出してしまえば、詐欺事件の温床になることは十分に考えうる事態である。

日本年金機構は、前身である社会保険庁時代から不祥事の連続。04年には未納情報を含むコン人情報が、07年にはオンラインデータに不備がみつかる年金記録問題が表面化。新組織になってからは、15年に125万件の個人情報流出事件もあった。政府も、そして野党や左派マスコミも、財務省の森友文書疑惑だけに時間を割くよりも、まずは国民の深刻な不安を取り除くために、日本年金機構をどうにかするべきではないだろうか。