安倍政権が推進する「放送制度改革」に対し、民放各社のトップが見苦しい反発を見せる中、唯一、テレビ東京の社長が「良識的な発言をした」と、ネット世論で熱い支持を受けている。
テレビ東京の小孫茂社長(66)は3月29日の定例会見の中で、安倍晋三首相(63)が表明している放送事業の見直しについて触れた。新聞報道によれば、政府は放送局の「政治的公平」などを定めた放送法の規制を撤廃し、インターネット通信の規制と一本化する方針を示している。これに対し、小孫社長は「規制緩和を通じて競争力を増そうという産業と、それを支えるメディアをどう成長させるかの議論がごちゃまぜになっている」と混乱する既存メディアの反応を分析。その上で「私たち民放もその議論に参画していくべき」と前向きな意見を述べた。
放送制度改革については、民放各社の首脳がことごとく反発する姿勢を見せている。TBS・武田信二社長(65)は「当然私も反対」「抜本的改革の方向性が違うのではないか」と言い、テレビ朝日・早河洋会長兼CEO(74)も「視聴者から拒否反応もあると思う」と懸念をみせた。また日本テレビ・大久保好男社長(67)も「私たちとしてはとても容認できない」としてきた。これに対し、ネット世論では「大メディアは既得権を守ろうとして反対してるだけ」「偏向報道のツケを払うときだ」と批判が盛り上がっていた。
同会見で、さらに小孫社長は「もしも民放不要という考えあるなら『えっ、それはどういうこと?』と言いたくなる」としながらも、「視聴者のメリットになるのであれば、我々民放も新しい提案をするチャンスが広がる」と、あくまでメディアが視聴者のモノであることも述べていた。
この良識的かつポジティブな会見には、大手メディア嫌いのネット世論も驚きが広がった。SNS上では「さすがテレ東。民放キー局の中で一番まとも」「マスゴミいち抜けキタ━━(゚∀゚)━━!!! テレビ東京社長、日テレ朝日TBSフジとの違いを表明!」「これぞ真の報道者だ!!テレビの社長では初めてですね 素晴らしいー」と多くの賛辞が飛んでいた。
少ない予算の中で、企画を練り上げて『池の水ぜんぶ抜く』や『出没!アド街ック天国』など良質な番組を数多く生んできたテレ東。じつは佐川宣寿前国税庁長官への証人喚問でも、民放各局がゴリ押しの大騒ぎする中、「枠がないので」という理由で放送せず、という独自の道を歩んでいる。かりにネットとの競合の時代が来たとしても、テレ東のブレなさ、前向きさならば決して視聴者を失うことはないのではないだろうか。