この一年、国会ではモリカケばかりが取り上げられ、まともな政策議論が行われていない状況が続いています。また、野党は週刊誌発信の真偽不明の官僚のスキャンダルまでも国会の場に持ち込み、政府への攻撃材料にしています。そして、それに便乗する与党議員までいる始末です。

国会、全面停止へ 麻生氏辞任要求めぐり野党が協議拒否
https://www.asahi.com/articles/ASL4M5FJDL4MUTFK01N.html?iref=pc_ss_date

立憲民主党など野党6党が4月19日、麻生太郎財務相の辞任や柳瀬唯夫・元首相秘書官らの証人喚問などを要求し、国会の新たな日程協議には応じない方針を決定しました。

今回は何故このような結果になっているのか「委員会」と「派閥」という観点から読み解いてみたいと思います。

国会には17の委員会があり、それぞれ専門分野に別れた議論をしています。そして、各委員会ではその所轄大臣が答弁に立つ仕組みです。例えば、財務金融委員会では、財務金融大臣が答弁します。所轄大臣以外が答弁に立つことはありません。

しかし、予算委員会は違います。予算はすべての省庁に関わるため、総理を含めたすべての大臣を委員会に呼ぶことが出来ます。ですから、分野をまたいだ議論ができるのが予算委員会なのです。また、予算委員会にはテレビ中継が入るため、各政党特に野党はメディア向けのパフォーマンスに興じるわけです。

また、ここでの議論は、政党VS政府という構図であり、野党VS野党や与党VS野党という議論は行われません。ですから、国会で野党議員のスキャンダルが議論されることは殆ど無いわけです。(懲罰委員会を除く)そして、国民はこれを見せられていると言う構図なのです。

■スキャンダル横行の裏側と、野党に政策議論ができない理由

国会議員は、必ず最低どこか一つの委員会に属さなくてはなりません。基本、国会議員はオールマイティではなく、それぞれに専門分野があるのです。これがいわゆる『族議員』なのです。

委員会の配分を決めるのは政党ということになっているのです。政党別当選者数に応じて、各政党に委員会の定数が与えられ、政党が委員を任命するわけです。自民党の場合、この議席配分を決めるのは派閥ということになっています。派閥の人数により、派閥別の委員会の定数が決められ、派閥の推薦で任命されるのです。無派閥の議員もどこかの派閥に枠をもらう形なのです。

何故このような形になっているかといえば、一つの派閥が委員会を支配しないためであり、議論が偏らないようにするためなのです。巨大な政党である自民党にとって、派閥は一つの党なのです。

現在の問題は、野党第一党であった民進党の分裂により、野党側の部会がない、又は機能していない状態になってしまっており、衆参での連携も取れていないわけです。このため、野党側の統一方針も出せず、まともな政策議論も物理的にできない状態なのです。ですから、誰でも出来る政権批判と週刊誌などのスキャンダル話に終止するわけです。

基本、国会は司法の場でも人民裁判の場ではなく、政策を議論する場です。健全な議論には健全な野党も必要であり、これがないことが一番の国民にとっての不幸といえるでしょう。