大マスコミが掲げる「アベ政権批判」の大義の元では、かよわい女性経営者が言われなき中傷を受け、経営面で実害を被っても知らぬ顔なのか。

週刊文春(文藝春秋社)は4月25日発売の号で、「林文科相が白昼通う“セクシー個室”ヨガ」という記事を掲載し、「元AV女優が経営、グラビアモデルらが個室でヨガの後、客に目隠しし一対一でオイルマッサージをしてくれる特別な店…」などと面白おかしく報道した。

だが、その後、記事で名指しされた「ポジティブスターヨガ」の経営者・庄司ゆうこ氏(34)が「私は元AV女優ではありません」「性的サービスもありません」とブログ上で反論。それを受けて、NEW’S VISION編集部でも、庄司氏に緊急インタビューを行ったのが前回記事だ。

林文科相キャバクラヨガ虚報で経営者・庄司ゆうこ氏に実害続々「訴訟も辞さない」
https://news-vision.jp/article/188270/

今回はその続編として、庄司氏に話を聞きながら女性の職業差別と人権問題の観点から、そして弁護士の見解をまじえて「反安倍メディア報道」の功罪を考察してみたい。

ーー庄司さんにさらにお伺いします。「キャバクラヨガ」報道の後、実際に実害も出ているんですか?

「インストラクターをしている女性スタッフが文春の報道にショックを受けて、『辞めたい』と申し出てきました。本人はいかがわしい店でないのは分かっていても、周囲は黙って陰口を言い、それが広まるのが怖いというんです。他のスタッフたちからも『スタジオのサイトに自分の写真とプロフィールを掲載しないでほしい』という訴えがありました」

ーー大メディアで「風俗まがいのいかがわしい店」と報道されてしまえば、従業員も風評被害を怖れて働きたくはないというのも無理もない話ですね。

「お客様に迷惑がかかってしまったことも、本当に申し訳なくて……。ある男性のお客様は元々、ウチのヨガに通っていることを普通にご家族に話されていたんです。でも今回の報道があって奥さまが怒ってしまい、家庭問題になったそうなんです。とかく男性が参加しづらいヨガに、もっと多くの方が参加できるようにしたいと考えていただけに、こういう事態になってしまい、とても残念です」

男性の方とて、いかがわしい店などと報じられれば、体面上は行きづらくなるに違いない。たしか、林大臣にも東大卒の夫人と娘さんがおり、家庭で波風を立てているだろうことは想像に難くない。

ーー庄司さん自身の周囲ではどんな反応だったでしょうか?

「タレントを辞めてから8年、地道に女性経営者として様々な先輩経営者にご指導いただいたり、企業様と交流させてもらってきました。仲の良い経営者仲間は業務内容を知ってくれていますが、全ての方が分かってくださるとは限りません。今後のことを考えると、中小企業の経営者にとって”営業妨害”以外のなにものでもありません」

中小企業にとって信用失墜は命取りである。ヘタな噂がたてば、銀行などからの融資が難しくなり、重要な取引先が提携を断ってくることだって十分にありえる話だ。しかも、庄司氏がブログで反論しようと、その評価は目に見えない水面下で沈下していくのである。また、庄司氏は別の問題も指摘する。

「今回、わたしは『元AV女優ではない』と申し上げましたが、もちろんAV女優の方だって何万人もいらっしゃいます。その方々も、起業して経営していく中で『元AV女優が経営の…』などと、世間やメディアから謂われなき中傷を受けるんです。そこにも職業差別というか、もう一つ問題があるような気がします」

経営者が元AV女優なら、その会社は即、いかがわしい店ということになるのか。今回の文春報道、それに追随したリテラの根底には、「反アベ」の大義の元にカモフラージュされた職業差別意識があったのかもしれない。

■刑事告訴、民事訴訟の両面で名誉毀損に該当する可能性

庄司氏は現在、「文春側から謝罪するか、誌面で訂正がなければ訴訟も辞さない」としているが、いまだに文春から何の回答もないという。訴訟事件を取り扱っている弁護士はどのように考えるのか。まつさと法律事務所の金沢幸彦弁護士は、NEW’S VISION編集部の取材に以下のように解説する。

「庄司氏が、元AV女優であるとした点も、セクシー個室ヨガ、キャバクラヨガと表現した点も、調査すれば真実でないことは容易にわかること。最高裁の判例がいう『その事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由がある』とは言えなそうです。したがって、今回の報道は、刑事(告訴)・民事(訴訟)の両面において、名誉棄損に該当する可能性があります。また、今回の風評被害によって、従業員の退職、顧客の減少、機会の損失などの事態が発生すれば、それによって生じる損害の額もそれなりに大きなものになるでしょう」

天下の文春砲といえど、今回は少々やりすぎた感が否めないだろう。公人批判、反アベ報道はけっこうだが、善良な一国民を不当に貶めるようなことがあってはならない。