韓国内に建てられた慰安婦像は、年々数を増やしている。韓国を飛び出して、アメリカ、ヨーロッパ、中国、フィリピンなどにも建てられている。
最初に建てられた、日本大使館前の慰安婦像を見に行った。像の真横には、パラソルを使った半透明のテントが建てられていた。内部にはボランティアスタッフの姿が見えた。どうやら四六時中見張っているようだ。
像の周りには警察官も常時立っていた。日本大使館の前にはバスが数台停まっており、中には警官隊がいるようだった。いつ騒動が起きても対処できるように構えているのだ。
2017年の4月、筒井康隆が長嶺安政・駐韓大使が帰任したことを憂いて『…長嶺大使がまた韓国へ行く。慰安婦像を容認したことになってしまった。あの少女は可愛いから、皆で前まで行って射精し、ザーメンまみれにして来よう。』とツイッターでコメントし大炎上したが、実際に慰安婦像の前でそのような行動をしたら一瞬で取り押さえられることは間違いない。下手をしたら殺されるかもしれない。写真を撮っているだけなら、特に何も言われなかったが、警官の視線は冷たい。
なんだか変なプレッシャーを感じてしまい汗をかいてしまった。
ソウルには慰安婦像よりもインパクトのある少女像があるという話を聞いた。
慰安婦像はもちろん反日のために建てられた像だが、その像は反企業のために建てられたという。
最寄り駅から外に出ると、巨大なサムソンのビルが建っていた。そして社屋に隣接する形に、その少女像はあった。
なんとも異様な形だ。白い服に身を包み、顔にはマスクをした人間が、腕組みをしてこちらをジッと見ている。少女像だと聞いていたので女性なのかと認識したが、知らなかったらそうは思わなかっただろう。まるで白いムキムキの忍者である。
そしてその横にはメガネの男の像が建てられていた。ロープでぐるぐる巻にされ、頭には札が貼られている。
滑稽な造形であり思わず吹き出しそうになったが、もちろんギャグ狙いではない。神妙な顔で像を見つめている人もいるので、笑いをこらえる。
この像は、反サムソンのための少女像なのだ。サムスン電子の半導体工場は世代第二位のシェアを売り上げているが、その実酷い労働条件で働かされていたという。
労働者はベンゼンなどの科学薬品に触れることが多く、その結果多くの人が白血病などの病気を発症した。この像は23歳で白血病で亡くなったファンユミの像だという。ただしサムスンに強く抗議をするため、外見はわざといかつくしたようだ。
そしてその横で縛られているのは、現在のサムスン電子副会長イ・ジェヨンの像だろう。2017年の8月に朴槿恵前大統領への贈賄などでて有罪判決が出たのは記憶に新しい。
少女像の横には、大きな慰霊の施設も建てられていた。そこにはガリガリに痩せたファンユミの像もあった。
確かに見た目インパクトの強い像だったが、その裏側には、財閥系大企業がのさばる厳しい韓国の現実があった。
しかし、日本でも同じ様な事件は起きている。ワタミでは入社から2ヶ月後の女性が自宅近くのマンションから飛び降りて自殺したし、電通では月105時間を超える残業を強いられた女性がクリスマスに投身自殺をした。
これが韓国だったら、ワタミや電通の横に少女像を建てるのかもしれない。その横にはロープでぐるぐる巻きにして頭に札を貼った渡邉美樹の像も建てられるのだろう。