アルテ・マイスター絵画館の一室で、ひときわ来館者の注目を浴びる「システィーナの聖母」。
265×196センチメートルの大作で、画面中央の上部にイエスを抱く聖母マリア、その左右には聖シクストゥスと聖バルバラが配され、画面中央下部にはあの有名な天使たちが描かれています。
どこか物憂げでありながらも凛とした強さを感じさせる聖母マリアの表情と、足元の天使たちの愛らしい姿が印象的です。
一説では、この2人の天使は、ラファエロが町で見かけた子どもたちがもの欲しげにパン屋を覗いていたところをモデルにしたものだともいわれています。
よく見れば、この絵は人物が十字架を描くように配されていることに気づくでしょうか。まさに祭壇画にふさわしい構成といえますね。
そして、もっと面白いのが、この作品に描かれている天使は実は2人だけではないということです。
この絵と実際に対面してみなければなかなかわかりませんが、雲のように描かれている背景にもまた、たくさんの天使たちが表現されているのです。
「世界で最も有名な天使」だけではなく、たくさんの名もなき天使たちに出会える「システィーナの聖母」。
アルテ・マイスター絵画館は、ほかにもフェルメールやレンブラント、ブリューゲル、ボッティチェリらの名画を所蔵しているほか、同じツヴィンガー宮殿内には、日本や中国、マイセンの名品を集めた「陶磁器コレクション」もあります。
ドレスデンを訪れるなら、ザクセン王が集めた素晴らしい芸術品の数々との出会いをご堪能ください。
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