だが、マスコミや野党の多くは、報告書にはまったく書かれていない安倍首相に文書改ざんの責任を結びつけようと必死であるようだ。例の首相と首相夫人が森友学園に関与したら首相の職をやめるとする国会での発言が、文書改ざんの引き金になったというロジックである。

だが報告書を読めば、そんな経緯はまったく書かれていない。むしろ森友学園に野党議員たちが押し寄せた出来事(テレビ向けのパフォーマンスの類)が大きなきっかけだった。そんな事実はマスコミや野党は無視である。当たり前だ。森友学園問題を無理やり、首相と首相夫人に結びつけようと派手なパフォーマンスをした野党、それを大々的にとりあげたマスコミ自体にいくばくかの批判の目がいくのを避けたいのかもしれない。もちろんそんな見え見えのパフォーマンスや報道姿勢であっても、財務省が文書改ざんや廃棄をした事実を弁護する材料にはひとつもならない。

ちなみに首相の答弁自体は、森友学園の土地取引や価格交渉に首相と首相夫人が関与していれば辞めるという、当たり前の限定条件がついている。だがマスコミではなんの形であれ関与したらやめるとでもいった形で無限定に報道されている。悪質である。政治を常に距離を置き、その活動を批判的にみるのはジャーナリズムのひとつの在り方だ。だが、今回の麻生大臣の辞任要求とでもいうべき報道姿勢、また安倍首相の「関与」答弁への強引な関連づけなど、マスコミはこの一年以上そうであり続けたように常軌を逸していると思う。