ドイツのお菓子と聞いて、バウムクーヘンを思い浮かべる人は多いことでしょう。

「Baum(木)」+「Kuchen(ケーキ)」という名の通り、切り株の年輪のような見た目は日本でもおなじみですね。

ところが、ドイツではバウムクーヘンは限られた職人だけが作ることを許された特別なお菓子。デパ地下やスーパー、コンビニなど、巷にバウムクーヘンがあふれている日本とは違って、どこでも買えるお菓子ではありません。

ドイツでは、国立菓子協会によってバウムクーヘンの定義が決められていて、「ベーキングパウダーは使用しない」「油脂はバターのみ」といった基準をクリアし、伝統的な製法で作られたもののみが、本物の「バウムクーヘン」と認められます。

ドイツ式のバウムクーヘンを焼くためには職人の高度な技術が求められるだけでなく、専用のオーブンも必要です。そのため、「バウムクーヘンの本場」と思われているわりに、地域によってはめったにバウムクーヘンを見かけることがなく、バウムクーヘンを食べたことがないというドイツ人も存在するくらいです。

ドイツにおけるバウムクーヘン発祥の地とされるのが、ドイツの北東部ザクセン=アンハルト州の町、ザルツヴェーデル。

それもあってか、バウムクーヘンで有名なコンディトライ(スイーツショップ)は、北ドイツや東ドイツが中心で、南ドイツや西ドイツででバウムクーヘンを見かけることはあまりありません。

バウムクーヘンで知られるコンディトライのひとつが、1825年にドレスデンで創業した「クロイツカム」。かつては、ザクセン王室御用達でもありました。

第二次世界大戦下のドレスデン大空襲、戦後のソ連軍占領体制という戦中戦後の混乱のなか、当時の経営者は南ドイツのミュンヘンへと拠点を移します。

そして東西ドイツ統一の翌年にあたる1991年に、クロイツカムがドレスデンに復活。

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