政府が資金流出を懸念することも無理からぬ規模に近づきつつある。一方で、外国人が韓国のビットコイン取引所に口座を開くことを禁じるなど、国外への資金移動を牽制するルールが徐々に策定が進んでいる。

韓国には、1990年代のアジア通貨危機の際、外貨が枯渇しIMFから救済を受けた経緯がある。韓国銀行(中央銀行)が2017年12月に発表した11月末時点の外貨準備高3872億5000万ドル(約43兆7167億円)は過去最高水準ではあるが、2017年9月以降はほぼ減少している状態だ。昨年より急激に仮想通貨の取引量が増加した同国が規制に踏み込む理由には、「資本流出への警戒」という、中国と同様の事情が含まれている可能性が高い。

韓国としては、アジア通貨危機のような事態を二度も繰り返すわけにはいかないだろう。事実上の「世界通貨」となっているビットコインなどの仮想通貨に対しても慎重な姿勢を取ろうとしていると考えられる。

(つづく~「仮想通貨のゆくえと日本経済vol.11アメリカとビットコインの関係【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」~)

◆フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー
フィスコ取締役中村孝也
フィスコIR取締役COO中川博貴
シークエッジグループ代表白井一成

【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部からの多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまで、この日本経済シナリオの他にも今後の中国経済、朝鮮半島危機を4つのシナリオに分けて分析し、日本経済にもたらす影響なども考察している。

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