以下は、フィスコソーシャルレポーターで暗号通貨・ブロックチェーンに関するシンクタンクを運営するd10labの平野淳也氏(ブログ「junyahirano.com」、Twitter: @junbhirano)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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本コラムではアメリカ最大の暗号通貨取引所であるコインベース(coinbase)について触れます。コインベースは、暗号通貨企業としてだけでなく、スタートアップ界全体でみても、UBERとAirbnb以降に創業されたアメリカのスタートアップの中では最も成功している会社と言えますが、その概略や戦略についてはほとんどまとまった記事もなく、考察はあまりされていません。

特に2017年後半からの、稼いだキャッシュの使い方や買収の動きについては知っておくべきことが多いですし、元コインベース従業員や現在のボードメンバーはシリコンバレーの暗号通貨エコシステムの中で最も影響力のある集団になりつつあります。

■創業に関する略歴
コインベースは2012年にサンフランススコで、ブライアン・アームストロング氏とフレッド・エールサム氏によって設立をされました。アームストロング氏は元Airbnbのエンジニア、エールサム氏は元ゴールドマンサックスのトレーダーです。もう一名、初期の創業メンバーとしてベン・リーブス氏がいますが、こちらは早期にコインベースと違う道を歩み、ウォレットサービスなどを提供する企業Blockchain.nfoの創業に参画しています。

コインベースは2012年の夏にYコンビネーターのプログラムに参加をし、150000ドルを獲得し、サービスをローンチします。それ以前、アームストロング氏自体は起業を志すことはなかったと言います。自作ソフトウェアを作るなかで思いついたアイデアで、Yコンビネーターのプログラムに参加し、自信をつけたというエピソードを20VC(のポッドキャスト)で語っています。

ちなみにビットコインに出会ったのは2010年で、やはりシリコンバレーエリアの第一次ビットコインブームは非常に早かったと振り返っています。

当時、または2012年前後のビットコイン業界は、ごく黎明期であり、有名なビットコイン関連企業は取引所のビットインスタントやマウントゴックス、決済サービスのビットペイなどで、この後やや後発で登場をしたのがコインベースでした。

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