◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の巻頭特集「LONGHASH Japan代表取締役 クリス・ダイ氏インタビュー」の一部である。全8回に分けて配信する。

今年2月に設立されたLONGHASH Japanは、分散型ビジネスモデルを可能にするブロックチェーン活用事業の支援を主軸として設立された注目の企業である。今回はLONGHASH Japan代表取締役社長、クリス・ダイ氏に、ブロックチェーンに代表される分散型ビジネスの将来性やその普及に至るまでの課題なども含めて、お話を伺った。

■クリスさんは2013年頃からビットコインに投資をなさっていたそうですが、当時からブロックチェーンに可能性を感じていたのでしょうか。

そうですね。友人のボビー・リーが中国の元大手仮想通貨取引所BTCチャイナの代表で、彼は当時からビットコインを自分たちでマイニング(仮想通貨の新規発行と取引認証の際に行われる計算作業)をしていましたし、さらに、ボビーの弟は仮想通貨「ライトコイン」の開発者のチャーリー・リーです。そういう仲間うちで「ビットコイン、面白いよ」という話をしていたのが、個人的に投資を始めたきっかけです。

私は当時、スタンフォード大学の上海同窓会の会長を務めていまして、その主催でビットコインをテーマにしたセミナーを開きましたら、聴衆から大きな反響があったのです。ひょっとすると、ブロックチェーンによって今までビジネスにできなかったことを実現できるかもしれないと感じました。ただ、当時はICO(仮想通貨技術を利用した資金調達手段)もなかったですし、ブロックチェーンをマネタイズする方法もありませんでしたので、ビットコインへ個人的に投資していたわけです。

■ブロックチェーンによって、管理者が不在で、データの改ざんもなされず、権限がユーザー全体に分散された公平なネットワークが構築できると期待されています。ブロックチェーンは、社会のどのような問題を、どのように解決する可能性があるのでしょうか。

現代の資本主義社会の問題点は、大資本に人や情報、技術などのリソースが集中してしまうことです。個人は企業に、企業はもっと大きな企業にリソースを吸い取られ、究極的にはGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)のような世界的なプラットフォーム企業へあらゆるリソースが集約されてしまう、そのような偏った現状があります。これでは、他の企業がまったく歯が立たないのです。

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