興味深いことに、イーサリアムにとっては良い知らせかもしれない。イーサリアムは最近の仕様変更がマイナーから不評を買っているが、中国でマイニングが全面的に禁止されれば、イーサリアムが進める大規模なアップグレードは、マイナーの不満という障害が減って加速するだろう。

今回の規制案は最終的に、ビットコインやイーサリアムのようなブロックチェーンのプラットフォームに中国が「ファイアウォール」を築く法的・倫理的基盤になるだろう。国の規制に従わないパブリックチェーンのプラットフォームを、政府は違法と認めるかもしれない。

実際には、トランザクションの追跡は困難を極め、政府の取り締まりも幅広いため、一般のユーザーがこれらのプラットフォームにアクセスしたり、利用したりするだけで、必ずしも処罰されるとは限らない。グーグルを利用している中国市民がひとりひとり罰せられるわけではないことと同じだ。

ただし、当局に報告せずに、あるいは許可を得ずにブロックチェーンのプラットフォームを開発したり、かなりの人数に利用を促したりした場合は話が別だ。

新しい規制が施行されたら、世界のブロックチェーン業界は、インターネットのときと同じように2つに分裂する恐れがある。すなわち、中国に拠点を置くプラットフォームと、中国以外に拠点を置くプラットフォームだ。現在は大半のプラットフォームが後者に所属する。

中国を拠点とするプラットフォームは、すべてのノードを中国国内に置き、すべてのユーザーの本人確認を、国識別番号や実名などの個人情報で裏を取らなければならない。さらに、IPアドレスなど事業者側の情報を記録し、いつでもプラットフォームを修正できる体制を整えなければならない。このように中央集権的な管理が義務づけられると、中国市場では、プライベート型のブロックチェーンの優位性が高まるかもしれない。

さらに、ブロックチェーンの規制が施行された後は、次々に規制の波が押し寄せるだろう。そうなれば、大手のブロックチェーンのプラットフォームは中国国内で影響力を失い、中国国内のプラットフォームが絶対的な優位に立つ。その結果、日本と韓国がアジアのブロックチェーン業界の主力になるだろう。

あるいは、ベトナムが取って代わるかもしれない。ベトナムには十分な教育を受けた若者がたくさんいて、比較的安いコストで事業を始められる。中国と同じように政府がインターネットを管理しているが、ブロックチェーンに対する方針や政策はまだ定まっていない。短期的には、既に多くのブロックチェーン企業がベトナムに注目している。中国がパブリックチェーンを総合的に禁止すれば、周辺の国々は開発者と投資家を振り向かせる努力を惜しまないだろう。

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短期的な動向は予測できないが、長期的には、投資家は心配する必要はない。グーグルもフェイスブックも、中国本土で禁止された後も株価は上昇を続けた。有望な仮想通貨の市場は似たような動きを見せるだろう。

(記事提供:LONGHASH)

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