主要国の金融監督当局で構成される金融安定理事会(FSB)は、各国で仮想通貨の行政を担当する所管当局がわかる「窓口リスト」の作成に着手したことが、日経新聞の報道より明らかとなった。これにより、まずは国際的な連携の基盤を整えるようだ。

今年6月に開催が予定されている20カ国・地域(G20)首脳会議では、日本が議長国となる。同報道によれば、仮想通貨領域の対策として、仮想通貨規制で先行する日本が主導となり、利用者保護や悪質業者の排除に取り組むという。

日本では2014年2月、当時世界最大級の取引規模を誇っていた仮想通貨取引所マウントゴックスで、約480億円相当のビットコイン(BTC)が消失した。これを受け、金融庁は2017年4月、「改正資金決済法」を施行し、仮想通貨交換業者に対して登録制を導入。しかし、その後2018年1月には、取引所コインチェックで約580億円分のネム(NEM)の不正流出事件が発生し、立ち入り検査や行政処分、仮想通貨自主規制団体の設立などにより規制を強化してきた。

資金洗浄対策に取り組む国際組織である金融活動作業部会(FATF)は、昨年5月、2019年6月までに仮想通貨に関する国際的なルールを制定する方針であることが報じられている。また、2019年秋には、FATFによる第4次対日相互審査を控えており、利用者保護やAML/CFT(マネーロンダリング防止とテロ資金供与対策)の観点から規制の強化や体制整備を進めている。

今回の報道によれば、FSBが作成する「窓口リスト」は、まずFSB参加国・地域を対象とするが、将来は広げることを検討しているという。仮想通貨規制に対する国際連携の第一歩となり、動向が注目される。