2014年末から2015年を通じて、マネタリーベースの拡大は再び頭打ち状態になる。過剰流動性のサポートを失った株は、上昇の勢いを失った。興味深いことに、これは2014〜15年の仮想通貨の長いクールオフ期間と一致する。

その次に起きたことは、とりわけ興味深い。ドナルド・トランプ米大統領は、2017年1月の就任から2カ月後、TGAを大幅に減らし始めた。TGAは基本的に、中銀にある政府の口座だ。税金はそこに流れ込み、財政支出はそこから出て行く。その資金源は国債/貨幣だ。政府が支出よりも多くを借りれば、残高は大きくなる。

TGAは事実上、世の中に出回っていないマネーだ。したがってそれが増えれば事実上の金融引き締め策となるし、減れば事実上の金融刺激策となる。問題は、TGAの減少幅が著しく大きかったことだ。2017年1月25日は4020億ドルだったのが、2017年3月半ばにはわずか230億ドルに減った。

これが相場を支え、「経済の有能な管理人」だというトランプの自己宣伝を補強する助けになったのは間違いない。

大統領に就任してからの極めて重要な数カ月、トランプは選挙戦で言っていたような泥沼のヘドロを抜く(転じてワシントンの既得権益を一掃する)のではなく、TGAを抜き、3500億ドル以上を経済に注入して、株価を押し上げることに成功したのだ。その一方で、ビットコインは強力なリスクバックドロップのなか、2016年7月の第2回半減期後の放出減少を受け、史上最高値をつけた。

ところが2017年10〜12月、米国の債務上限を取り巻く状況に現実が忍び寄り始めた。大型減税は財政赤字を悪化させ、スティーブン・ムニューシン財務長官はメルトダウンに備えて、TGAを増強する必要がある。量的引き締め(QT)と流動性縮小が効果を発揮し始めると、まずビットコインが、次に株価が上昇の勢いを失う。S&P500種とビットコインの日々の値動きに相関関係は乏しいが、その全体的なトレンドに一定の類似性があるのは興味深いことだ。それはより大きな流動性に直接または間接的に起因するのかもしれない。

それで結局のところ、ビットコインにとって流動性は重要なのか。マクロレベルで見ると、答えはおそらくイエスだ。実際、米国の金融政策トレンドは、ビットコインの値動きとかなり一致している。仮想通貨は極めて投機的な資産だ。景気が良く、伝統的市場で貨幣量が増加えているときは、試しに買ってみてもいいかなと思わせるようだ。

(記事提供:LongHash)
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