■異なる仮想通貨間の売買に対する課税について
「これも世界では類を見ない税制。仮想通貨間の売買は、利確してモノや物理的な利益を得ているわけではないのに課税対象となることが疑問視されている。仮想通貨間の売買は、非課税にすべきではないかとの声も上がっている。」
(出典:ファイナンシャルフィールド)

具体例を挙げると、日本円でビットコインを購入した後、リップル(XRP)やイーサリアム(ETH)など、他の通貨に替える度に、税金が掛かるということだ。

市場規模拡大のために不可欠な「機関投資家」の参入には、市場の透明性や流動性が担保されていることも重要であるが、このようなデメリットの大きな税制は、”流動性の低下”に直結し、日本の仮想通貨・ブロックチェーン業界の発展の妨げとなっている現状がある。

■損失繰越の控除ができない点について
「仮想通貨の場合は分離課税ではないため、前年の投資額がマイナスであった場合、そのマイナス分を翌年の利益から相殺することができない。このため、投資家は多額の税金を支払うことになる。
租税法の中立性という観点から、株式投資やFX投資同様、仮想通貨も分離課税として繰り越し控除を適用できるようにすべきではないかとの声が上がっている。」
(出典:ファイナンシャルフィールド)

これも非常に重要な要素だ。仮想通貨市場のように、大きなボラティリティを持つ市場において、新規参入を遠ざける要因のひとつとなっている。

上場株式の場合は、取引を行う過程で「年間通じて損失を出した投資家が、損益通算と損失の繰越控除という制度を利用して「確定申告」をすることで、翌年以降、最大3年間繰越で節税できるという仕組みがある。

■利確時の少額決済にも課税される点について
「仮想通貨を使った買い物の決済についても、仮想通貨法に従い、利益分を計算した金額に対して税金を支払う必要がある。
例えば、日常で数千円単位の支払いを仮想通貨で支払う場合、仮想通貨を買った時期の価格と、現在の時価の差異を計算して税金を納めなければならない。そのため、仮想通貨を日常の決済手段とすることは、現実的ではない。」
(出典:ファイナンシャルフィールド)

日本政府は、他国に大きく遅れをとる”キャッシュレス社会”の促進に注力しはじめており、想定を超える混雑で大きな混乱が予想される、東京オリンピック2020や大阪万博2025の開催を見据え、店舗での決済時の時間短縮や交通インフラの利便性向上が急務と言える。

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