それが夜間に130基の対空サーチライトを上方に向けて放ち、光の柱を暗闇に浮かび上がらせるという、かつてない党大会でした。
会場のツェッペリンフェルトは荘厳な光と暗闇に包まれ、現在からは想像もできない熱気と雰囲気だったと想像されます。
のちにレニ・リーフェンシュタールがこの党大会を記念映画「意志の勝利」として作成したことでも有名になる第6回ナチ党党大会は、これまで以上にさらに多くの人々の心を掴み、熱狂の渦へと駆り立てていきます。
当時のヒトラーは現代の我々が生きる世界で例えるのなら、ハリウッドスターのようなアイドル的な存在だったと評されています。
現代では信じられないことですが、当時は自動車王ヘンリー・フォードやイギリスの首相にもなったデビッド・ロイド・ジョージ、ファッションの世界では知らない人はいないココ・シャネル、そしてアメリカ合衆国の飛行家として誰もがその名前を知るチャールズ・リンドバーグ、など著名人も含めた世界の多くの人々がヒトラーを賞賛していることから、ヒトラーはドイツ国内のみならず、世界的に名の知られた有名人であることが分かります。
そんなヒトラーが開催した荘厳なナチ党党大会ですが、第6回大会の翌年に行われた第7回ナチ党大会期間中には、ニュルンベルク法を成立させユダヤ人の市民権を完全にはく奪します。
そしてそのさらに翌年の第8回ナチ党党大会では四カ年計画を発表、戦争を行える体制を整えるため軍備支出を大幅に増加させ、戦争への歩みを進めていきます。
そんな荘厳な党大会が開催されたニュルンベルクのツェッペリンフェルトでは、象徴的な式典が行われた場所を、現在でも実際に歩くことが可能です。