日本国内の「市庁舎」というと、住民課、年金課、住宅課など市の行政事務を取り扱う場所であるため観光するイメージがないかもしれません。

しかしながら海外では、行政の中心地である市庁舎であっても、様々な歴史展やイベント、さらには建物自体が歴史的建造物で、観光客案内用にガイドツアーを設定しているところも少なくありません。

今回は、建物自体が歴史的建造物であり、かつてはヨーロッパ最高位の建築に位置付けられた市庁舎「ダブリン市庁舎(Dublin City Hall)」をご紹介しましょう。

ダブリン市庁舎は当時は市庁舎ではなく、王立証券取引所として1769年から1779年の10年間をかけて建設されました。

建設された当時は日本は江戸時代にあたり、日本においては1774年に前野良沢・杉田玄白などが「解体新書」を発表したり、1776年には平賀源内がエレキテル器械を完成させたり、と発見や発明が多くあった10年間でした。

市庁舎は、2階から入るように設計されており、入館すると円形のエントランスホールで屋根がドーム状になったロタンダという造りが見えます。

ロタンダとは円形の建物のこと。この円形の証券取引所では、当時商人たちが商談をしていました。

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