人口減少中の日本。現在の総世帯数およそ5410万世帯、そのうち単身世帯は1900万世帯を超えている。およそ3分の1が単身世帯で、2040年には4割近くまでその数が増えるとの予測もある。

気がついたら自分の老後や死後を託す人がいない。そんな身寄りがなかったり、ひとり暮らしをしている「おひとりさま」も増加中だ。ひとりで死期を迎えることに不安があるという人に聞けば、公共料金の解約や役所への届け出、遺品の整理など死後事務への心配ごとが多いという。自分の死後に、自分自身ではどうにもできない作業が発生することへの不安だ。だから「終活」も広がりを見せている。今では終活という言葉の認知度は9割を超えていると言われている。遺書、遺言書、エンディングノート……。そして終活を支援する新たなサービス「おひとりさま信託」が三井住友信託銀行から発表された。

今まで信託銀行で行なってきたサービスは、金融資産や不動産などの処分などに限定されてきた。「おひとりさま信託」では一般社団法人安心サポートと連携することで、葬儀や埋葬、家財などの整理、デジタル遺品の消去、形見分け、ペットなどの死後事務を担い、終活のあれこれがワンストップで実現できる。一般社団法人安心サポートは、高齢者に関する福祉の増進に寄与することを目的に設立された法人で、知識や経験が豊富な三井住友信託銀行のOB・OGなどで構成されている。

「信託であれば、終活の不安を解消できるかもしれない。そんな思いを持ってスタートさせる今までにないサービスです。終活をワンストップで対応する。単身世帯だけではなく、どなたでも活用していただきたい。三井住友信託銀行が手がけるからこそ、エンディングノートの最期を迎えるための記録型ノートから実現型サービスを提供します」と三井住友信託銀行株式会社人生100年応援部の谷口佳充部長。

おひとりさま信託では定期的にSNSで安否確認が配信され、わかりやすいエンディングノートが用意され、自分だけの情報もデジタル化して管理されることで紛失してしまう心配もない。死後だけではなく生前もサービスが行われる。12月17日から三井住友信託銀行の新宿支店、新宿西口支店、日本橋営業部で先行して受付を開始。2020年の春から取扱店を拡大し、秋には全店舗でリリースを開始する予定だという。

人生は100年時代を迎えている。他人事ではない「おひとりさま」の問題。老後の不安を軽減するサービスに今後も注目したい。