ユーザーが髪を切ってもらうために、スタイリスト個人を直接指名、予約、決済することができるサービス「MIRRE(ミラー)」(http://mirre.jp)の提供が8月26日よりスタートしている。
検索予約サイトで美容サロンを調べたり、スタイリストがSNSなどで発信する情報を見てアプローチするというのが、ユーザーが美容サロンを探すための従来の方法だった。
だが、MIRREを使えばユーザーは自分に合ったスタイリストを探して、直接指名することができるようになる。
MIRREはユーザー、フリーランスのスタイリスト、美容サロンが登録可能。自分に合ったスタイリストを探したいユーザー、新規顧客を開拓したいスタイリスト、空いた鏡を有効活用したい美容サロンという三者をつなぐ仕組みが提供されるのだ。
MIRREのコンセプトは『あなただけのキレイを「探す人」と「創る人」をつなぐ場所。』というもので、その言葉どおり、ユーザー、スタイリスト、美容サロンのマッチングが簡単に行えるわけだ。
今回、MIRREを開発提供する株式会社FUTURE GATESの執行役員でありMIRREの責任者でもある松原健一郎氏(写真左の人物。右は同社代表の坂元伸一氏)に話を聞くことができた。どういった思いで、MIRREを開発したのだろうか。
コロナ禍で打撃を受けた美容業界を支援するために
──サービスを立ち上げた経緯はどういったものだったんでしょうか?
松原 FUTURE GATESの代表の坂元が、美容サロンの代表のかたとよく話をしていたので、コロナ禍で打撃を受けている美容業界の話を聞いていたんです。もともと、うちはシステム開発を主軸としてやっている会社なので、美容業界を支援することはできないかという話になったんです。
──コロナ禍で美容業界が困っているというところから、美容業界のためのサービスを開発しようということになったんですね。
松原 それから、どんどんフリーランスのスタイリストさんが増えてきているんです。美容サロンが、そういったフリーランスのスタイリストさんに空いた鏡を貸し出すという仕組みもあります。
──なるほど。
松原 そうした中、コロナ禍もあって美容サロンの経営者は負担がすごく大きくなり、働くスタイリストさんも不安を感じています。集客のために従来の大型メディアに掲載するという方法もありますが、結構お金がかかってしまうんです。だから、ユーザーさんとスタイリストさんが低価格でつながれるものができたらいいんじゃいかと考えて、MIRREを開発しました。
──髪を切る側、切られる側のマッチングのためのサービスですね。
松原 直接予約アプリとしては他社のサービスもありますが、それらは決済は一切絡ませてないサービスなんです。MIRREでは事前決済機能を導入しています。
──事前決済機能には、どういうメリットがあるんでしょうか?
松原 「クーポンがあるから安い」と思って美容サロンに行ったけど、色々と後から提案されて最終的に払う金額が予想以上に上がってしまったというようなことが起きません。これはユーザーさんにとってのメリットですが、スタイリストさんにとってもドタキャンを回避できるといったメリットがあります(キャンセル料は、施術開始までの48時間以内から24時間前までは、施術料の50%。施術開始までの24時間前までは、施術料の100%となる)。
──MIRREを利用するユーザーの方々はどういった層をイメージしていらっしゃいますか?
松原 25歳から30代前後ぐらいの女性で、髪についてこだわりを持っていて、自分の求めるものに対してはお金を払っていいと考えている方々です。そうした方々に自分のこだわりを見つけるための場所として使っていただきたいです。
──プレスリリースには「MIRREでは、審査を通過したスタイリストが登録されている」と書いてありましたが、どういった審査を行なうんでしょうか?
松原 美容師免許を提出していただいたり、経歴を我々のほうでチェックします。その上で、フリーランスのスタイリストさんに場所と鏡を提供される店舗さんのほうでもスタイリストさんをチェックしていただきます。
──フリーランスのスタイリストさんは、二重の審査を通過した上で、MIRREを通じてお仕事するわけですね。
松原 店舗さんにとっても自分たちが作り上げたい世界があるので、店舗さんが「うちの鏡を使っていいよ」と承認したスタイリストさんがMIRREにメニューを掲載できるようになるんです。
将来的には海外にも進出したい
──8月26日にサービスがスタートしましたが、登録数ですとか、数値目標などはあるのでしょうか?
松原 毎月毎月、目標は設定しています。加盟の店舗さんについては確定して動き出していただいているもので50店、こちらの処理が完了してないもので80店です。ユーザーさんのインストールに関しては、毎月だいたい5000~1万ぐらいで行ければな、と考えています。
──追加を考えている新機能などを含めて、今後の展望について教えていただけますか。
松原 今、力のあるスタイリストさんはSNSで集客を行なってるんですよ。SNSに自分の事例を載せて、そこから予約までの動線を作っている。MIRREでも、そうしたお客さんとの接触から来店までをアプリ内で完結させたいですね。サービスの計画では年内は関東圏での利用者を増やして、年明け以降では全国での利用者を増やしていきたいです。ある程度土台を固められたら、海外に進出したいとも考えています。
──どのあたりの国々を想定してらっしゃるんでしょうか?
松原 アメリカやシンガポールなど、日本以上にスタイリストが自立して働いているところですね。日本のマッチングアプリには海外に進出したものがあるんですが、MIRREの仕組みも海外に出していきたいですね。正式リリースしたとはいえ、まだまだテスト運用というところもあるので、まずはしっかりとサービスを固めていきます。