10月20日(木)、東京・渋谷の渋谷ストリームにて「老舗フェスティバル2022」(以下、老舗フェスティバル)が開催された。10月20日の「老舗の日」にちなんで、老舗の技術や文化を幅広い層にアピールすることを目的とした1日限りの限定イベントである。主催は、日本全国の老舗の逸品を扱うECサイト「老舗通販.net」を運営するスターマーク株式会社。
イベント内では、多くの老舗が一堂に会する「老舗サミット」も開催された。老舗サミットは二部構成で、第一部の冒頭では、渋谷区長の長谷部健氏が開会のあいさつを行なった。
あいさつの中で長谷部区長は、老舗フェスティバルを通じて日本の伝統と文化をアピールし、そのことで渋谷の国際都市としての発展を後押ししてほしいと語った。
長谷部区長のあいさつに続いて、パネルディスカッションが行われた。最初のパネルディスカッションには、総本家更科堀井の堀井良教氏、龍公房の福田隆氏、笠仙の小川文男氏が登壇。
このパネルディスカッションでは、東京の老舗の産品を国内外に発信する「江戸東京きらりプロジェクト」の紹介が行われた。ディスカッションの中では、老舗が行政と協力して文化を伝えていきたいという意気込みも語られた。
続いてのパネルディスカッションには、東京都中央区長の山本泰人氏、黒江屋の柏原昌和氏、弁松総本店樋口純一氏が登壇。
老舗の数が非常に多い自治体である、中央区の取り組みが紹介された。老舗といえども全国的には認知度が低くなるのでアピールのための努力や工夫が必要であること、江戸のブランドを押し出すためには行政のバックアップも必要ということなどがディスカッション内で語られた。
NFTやAIを活用した、老舗の新たなチャレンジ
第1部の最後のパネルディスカッションには、京都府与謝野町の山添藤真町長、宮眞の宮崎輝彦氏、kuska fabricの楠泰彦氏、伊場仙の吉田誠男氏、日本橋さるやの山本亮太氏、ITジャーナリストの林信行氏が登壇。
このディスカッションの中では、昨今話題を呼んでいるNFTとAIの活用が老舗の新たなチャレンジとして取り上げられた。NFTの活用の一例としては、扇子の老舗である伊場仙の柄を使ったNFTアートを紹介。AIの活用例としては、AIを使って「鱗紋」「亀甲紋」などの伝統的文様を再解釈した事例が紹介された。
AIによって伝統的な文様をベースにして新たな柄を生み出し、職人がそれを手で織ったのである。会場には、AIと丹後ちりめんの老舗kuska fabricの職人のコラボで生み出されたテキスタイル「亀甲紋クロニクル」を額装したものが展示され、来場者の注目を集めていた。
老舗の商品が販売されるマルシェも
老舗サミットの第二部では、まんじゅうや日本酒の文化やイノベーションを紹介されるなど、サミットは非常にバラエティ豊かな内容となった。
こうしたパネルディスカッションの他、老舗フェスティバルでは「老舗マルシェ」「老舗カフェ」も展開された。会場である渋谷ストリームの1階で、多くの人が行き交う広場にて全国の老舗商品が販売された他、老舗カフェでは老舗企業とのコラボメニューや日本酒の試飲が楽しめた。特設ステージでは、有名DJ沖野修也氏らのプレイも行なわれるなど、幅広い層にアピールするための工夫が凝らされたイベントだった。