日産自動車株式会社は、総合模型メーカーの株式会社タミヤと先進的な教育方針で知られる学校法人新渡戸文化学園(東京都中野区)と共同で、電気自動車(以下、EV)の可能性と未来のまちづくりを学ぶ小学生向けの特別授業「なかの電動化スクール」を実施した。

授業は3月11日(月)〜12日(火)の2日間にわたって、新渡戸文化小学校4年生を対象として行なわれ、12日(火)の授業の模様は報道陣にも公開された。

12日(火)の授業の舞台となったのは、新渡戸文化小学校の体育館。体育館には、中野駅から新渡戸文化小学校付近までの土地を段ボールで再現した、7メートル四方のジオラマ「ミニチュア中野」も設置された。

51名の小学生たちは「中野の街が停電してしまった」というテーマを与えられ、そうした状況になったらEVを使って街のどの部分を電気で照らしにいくかを考えた。

前日の授業で自分たちの手で組み立てたタミヤのミニ四駆を手に、小学生たちはミニチュア中野の中に入っていく。ミニ四駆をEVに見立てて、停電になったらどこをEVの電気で照らすかをシミュレーションしたのだ。

今回、生徒たちが使ったミニ四駆は、日産が開発した蓄電池によって手回し発電が可能。発電した電気での走行や豆電球の点灯が可能となっていて、まさに小さなEVと言える存在だ。

ミニ四駆を思い思いの場所に置いた小学生たちに、新渡戸文化学園の小学校教諭の栢之間倫太郎氏がどうしてその場所を選んだのかと聞くと、スーパーマーケットにミニ四駆を置いた生徒は「スーパーは人が多いし、集まった人は防災グッズを買えるから」と答え、病院にミニ四駆を置いた生徒は「電気が必要な医療器具があるし、電気を必要とする患者さんたちがいるから」と回答した。

生徒たちの様々な発想を聞いた栢之間教諭は、病院には災害時などのための非常用電源があるといった補足説明を入れつつ、生徒たちの自由な発想を誉めた。

EVを使った遊び場も

停電に続いて、小学生たちには「遊び場を作る」というテーマが与えられた。いつでもどこでも電気が使えるというEVの特性を活用した新しい遊び場のアイディアを考えたのだ。

小さなホワイトボードを使って、どういう遊び場を作るか作戦会議をした小学生たちは、そのアイディアをもとに実際にミニチュア中野を工作で飾り付けて、新しい遊び場を作っていった。

小学生たちは遊び場をiPadを使って写真撮影し、全員で遊び場の写真を共有した。写真を見ながら栢之間教諭がどういう遊び場なのかを聞くと、バーラウンジまで設置されたゲームセンターという大人っぽいアイディアや、EVをキッチンカーなどの移動販売車として活用した商店街といった実用性のあるアイディアなどが小学生たちから飛び出してきた。

特別ゲストとして授業を見学した中野区の酒井直人区長は、遊び場を作るというテーマに関して、「みんなが本当に欲しいものを考えていると感じました。まちづくりのアイディアをいただきました。ありがとうございます」と小学生たちの自由な発想を称賛した。

今回の取り組みを行なった日産自動車としても授業に十分な手応えを感じたとのことで、同様の特別授業を他の学校でも実施していきたいと授業後の囲み取材で語った。