8月1日から「焼肉 番手十番(やきにく ばんてじゅうばん)」が築地(東京都中央区築地4-12-2 ライオンズマンション東銀座2階)にオープンした。オープンキッチンで調理の様子を眺めながら希少部位も食事できる路面店だ。

店名の「番手十番」の由来は、取り扱う肉質から来ている。肉といえばA5ランクの肉がいいとよく知られるが、肉質と脂質がともに優れた肉は番手8から番手12に格付けされる。

その中で希少価値の高い番手10から番手12を取り扱うので、「番手十番」と名付けられた。

◯アトム株式会社東京支店長・野口正彦氏が語る「番手十番」への想い

「弊社は飲食業を中心とした会社ではなく、食肉の輸入・販売・卸を手掛ける会社です。福岡本社を拠点に、東京や大阪へも事業を展開しており、フランチャイズ店舗は北は新潟から、南は九州まで幅広く展開しています。取り扱うお肉は、A5ランクの中でも「10番以上」の特選クラスが中心で、とりわけ宮崎牛を主力としています。A5ランクの中でも肉質には差があり、サシの入り方、霜降りの度合い、肉の色合いなどによって格付けされています。

移転前は銀座三越に出店していましたが、今回の新店舗は築地を選びました。その理由は、コロナ禍以降、人々の生活リズムが1〜2時間ほど早まったと感じているからです。朝6時前の電車はすでに満員であり、夜9時前には多くの人が帰宅している様子が見受けられます。

さらに、早朝の築地は日本人だけでなく、多くのインバウンド客でも賑わっています。実際、今朝6時に店舗へ肉を届けた際も、周辺は外国人観光客であふれていました。ただし、彼らが口にしていたのは、うどんなどのいわゆるB級グルメが中心で、きちんとした朝食を楽しめる場はまだ十分に提供されていないように感じました。そこで、弊社では朝8時からの営業を開始することにしたのです」

◯気になる「肉屋の朝食御膳」

「肉屋の朝食御膳」は値段別に3種類あり、目玉は20食限定の2800円コース。宮崎牛の希少部位はついてこないが、こだわりの豚と鶏は楽しめる。希少部位が楽しめるものは3500円と4500円のコースがある。

◯実食

メニューの一部の試食をする時間があった。朝食御膳の「宮崎牛のたたき」や「牛握り寿司」などは噛み応えがありつつも、しっかり噛み切れて肉の味が舌の上に広がった。「宮崎牛しぐれ煮」は噛みしめれば噛みしめるほど、味わい深い。米がすすむ。すすみすぎるぞ、これ。

牛肉だけではない。「れんこん梅キンピラ」は、しゃくしゃくとした歯ざわりで梅の爽やかさが舌をリセットしてくれるのがうれしい。

ゴマ薫るナス田楽やサザエの壺焼きなどもしっかりとした味がある。甘味の玉子焼きいくらのせもいい感じに豪儀を感じた。

なによりメインディッシュである「とことん豚の西京味噌焼き」はどでかい一切れで味が濃い。とことん豚とは、群馬県の榛名で水と梅を飼料に育てた黒豚とのハイブリッドの豚肉だ。

「古処鶏の塩麹焼き」は焼き加減が絶妙。塩麹がしっかりとした味わいを楽しませてくれる。古処鶏とは、飼育日数や飼育法、鶏たちの密度、もちろん飼料にまでこだわった赤鶏である。

◯目玉の宮崎牛も実食

豚も鶏も上質なものだったが、精肉のプロが作った焼肉店に来て、牛を食べない手はないだろう。そこも用意していただいた。

今回、頂戴するのは宮崎牛のシャトーブリアンである。オープンキッチンで、じっくりと炭火で焼き上げていく。火力が強いので周りはカリッと、中はジューシーに焼き上がる。

夜のコースでは、宮崎牛希少部位が3種ついてくる「宮崎牛希少部位焼肉コース」(1万3200円)、サーロインと宮崎牛希少部位2種がついてくる「宮崎牛サーロイン入焼き肉コース」(1万8700円)、シャトーブリアンと希少部位2種がついてくる「宮崎牛シャトーブリアン入焼肉コース」(2万5300円)が用意されている。

これらは焼きすきも味わえて、土鍋ご飯と一緒に楽しめる大満足なコースだ。

肝心のシャトーブリアンの味は、脂が甘く、口の中がその肉の甘味で包みこまれるような優しくも力強い味わいが広がった。和牛オリンピックで四回連続受賞を果たした和牛の最高峰”宮崎牛”のA5の番手10番以上の雌牛ならではの逸品がそこにあった。