昨年、訪日外国人観光客は過去最高を記録。観光業における人材不足は、国内人口の減少も相まって喫緊の課題となっている。そうした問題を打開すべく、2027年4月に「バンタン外語&ホテル観光学院」が開校される。ワーキング・ホリデーをカリキュラム化した新しい学校だ。2月某日、都内で記者発表が行われた。
海外に飛び出したい若者の背中を押す、働きながら学ぶ
年々増加するインバウンド需要の反面、近い将来に国内観光産業において211万人(2035年の予測)の人材が不足するという算出がある(出典:WTTCレポート「Future of the Travel & Tourism Workforce」)。
観光業に携わるうえで欠かせない語学力やコミュニケーション力といったスキルを得る近道は、なんといっても海外留学だろう。しかし、昨今の円安や物価高でなかなか留学に踏み出せない若者は多い。実際に日本の大学生、専門学校生の長期海外留学数は2004年をピークに減少している。留学しない理由の多くが「経済的な余裕がない」だ。
大学4年間の在学中に半年から1年の留学をした場合。学費の総額はおよそ600万円後半から700万円前半ほど。かわいい子には旅をさせたい親心があっても、現実には簡単に送り出せる金額ではない。
海外留学が減少する一方で、ワーキング・ホリデーの利用者数は増加傾向にある。ワーキング・ホリデーは、18歳以上30歳以下を対象にした海外で働きながら滞在できる制度。海外に基本1年間の長期滞在ができ、現地で働いて資金を補うことができる就労を認めるもので、現在日本は31か国・地域との間で制度を導入している。
このワーキング・ホリデー制度を学校カリキュラムに取り込んだのが、来年開校する「バンタン外語&ホテル観光学院」。学校を休学することなく、しかも実務的な就労をしながら金銭を稼ぐことができる、いわゆるワークスタディーだ。
学校×海外サポート事業×ホテル業で実現する新たな道筋
バンタン外語&ホテル観光学院のワーキング・ホリデーを活用したカリキュラム。3年制の専門部を例に挙げると1年次は通常授業、2年次はワーキング・ホリデー、3年次は通常授業といった具合で留学を中心に据えつつ、国内のホテルでのインターンといったより実践に近い学びの場が準備されているという。
海外でのワークスタディーをサポートするのは株式会社リアブロード。同社は、独自のネットワークで多くの留学やワーキング・ホリデーをサポートしてきた実績を活かし、学生の行き先や就労先のマッチングを担うという。カリキュラムでの行き先はニュージーランド、オーストラリア、カナダのいずれかになる。
そして、ホテルでのインターンシップでは、IHGホテルズ&リゾーツ、ハイアットグループ、マリオットインターナショナルといった大手3社がパートナーシップを組む。いずれも歴史あるホテル企業が若手の育成に協力する形だ。
3者の協働によって、観光業界を目指す若者にとってはこれまでにない海外留学への道筋が見えてきた。それは経済的な理由で留学を諦めなくてもいいという家庭にとっても嬉しいニュースなはず。記者発表に登壇したタレントの藤本美貴さんは3人の子を持つ母、同校の開校について次のように話した。
「自分がまだワーキング・ホリデーに行ける年齢だったら、本当に制度を利用して行きたかったです! 学費だけで約700万円という算出も、これは学費だけですよね? 実際には生活費など他にもお金がかかるわけで……。親としては子どもに選択肢を幅広く持たせてあげたいので、本当に素敵なカリキュラムだと思いました」
子どもの将来を見据える親心を吐露した藤本さん。海外留学を夢見る若者がひとりでも多く旅立つことを願いたい。