界三大酒類の1つに数えられ、人類の歴史とともに歩み続けてきた飲み物、ビール。

中でも近年、日本中で熱い盛り上がりを見せているのが「クラフトビール」だ。小規模な醸造所(マイクロブルワリー)が、個性と情熱を注ぎ込んで造り上げる一杯は、大手メーカーの画一的な味わいとは一線を画す、唯一無二の世界を見せてくれる。その土地の水、その土地の個性、そして造り手の哲学、一杯のグラスの中に、すべてが凝縮されているのだ。

そんなクラフトビールの魅力を、「水の都」として名高い町で心ゆくまで堪能できる名店がある。

今回ご紹介したいのは、岐阜県郡上市・郡上八幡の風情ある町家に佇むマイクロブルワリー「郡上八幡麦酒 こぼこぼ」だ。

・「水の都」郡上八幡が生んだ、名水のクラフトビール

郡上八幡と言えば、言わずと知れた「水の都」。

清流吉田川が街を流れ、町中に清らかな水路が張り巡らされ、名水百選に選ばれた「宗祇水(そうぎすい)」をはじめ、至る所に湧き水が溢れる、まさに水に愛された町だ。「郡上八幡は水が綺麗だから、何を食べても、何を飲んでも美味しい」地元でそう語り継がれるほど、この町の水は格別である。

そんな郡上八幡で、名水を惜しみなく使って造られるのが、「こぼこぼ」のクラフトビール。

醸造家が語るには、郡上八幡の水は、石灰岩の鍾乳洞から湧き出る、カルシウム豊富な澄み切った中硬水。この地の水道水さえもが、その天然水から引かれているというから驚きだ。「こぼこぼ」では、この名水の硬度を一切調整することなく、そのまま仕込みに使用。水そのものの清らかさと、雑味のない仕上がりを何よりも大切にしている。まさに、郡上八幡という土地でしか生まれ得ない、唯一無二のクラフトビールなのだ。

・路地の奥、町家「玄麟」に潜む小さな醸造所
「こぼこぼ」があるのは、郡上八幡の城下町の中心部、新町。風情ある町家「玄麟(げんりん)」の中にある。

細い路地を進んだ先に、ひっそりと佇むその入口。まるで別世界へと誘われるかのような、路地の奥の隠れ家的な佇まいだ。知らなければ通り過ぎてしまいそうな、まさに「知る人ぞ知る」名店である。

この町家の地下で醸造が行われ、その上のフロアがブルーパブになっているという、なんとも贅沢な造り。店先の中庭でゆったりとビールを味わうこともできる。古き良き町家の風情に包まれながら、できたてのクラフトビールを傾ける、これ以上ない贅沢な時間が、ここにはある。

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