違法か、それとも合法かーー。いまや日本でアクセス数31位、 月間利用者数は約1億人の巨大サイトと化してしまった漫画村が、ついに廃村の土俵際に追いつめられている。

マンガ単行本や週刊マンガ誌などを無料で閲覧できるサイト「漫画村」が11日から繋がらなくなり、賛否の声や未確認情報が乱れ飛ぶ混乱が起こっている。現在(12日現在)同サイトにアクセスすると「現在漫画村はメンテナンス/もしくは負荷が高い状態です。現在担当者が直している途中なので時間を開けて再度アクセスください。」との画面が表示される。原因は不明だが、すでに1週間前から更新が行われてなかったことから「管理人逃亡説」や「勝ち逃げ説」も流れていた。

これを受け、ソーシャルメディア上では「漫画村が見られない」と混乱が広がり、一時は「漫画村」の検索サジェストに「代わり」が上がり、また”政府による圧力”と勘違いした一部ユーザーらが「漫画村が見れないのはアベのせいだ」と逆ギレするなど、臆面もない「タダ乗り」の実情が浮き彫りなっていた。

だが、昼過ぎにはTwitter上に同サイトの【公式】らりっくま@漫画村が「今、長期停止になってしまったクマ」「みんなが漫画村に入村してくれたおかげで村はパンク状態クマ!」とツイート。サイトに繋がらない状態は一時的なもので、運営側には継続の意志があるものとの見方も出ている。

■漫画村を追い詰める著作権包囲網

それでも、漫画村に対する包囲網は確実に狭まり始めている。11日には「漫画村」がGoogleの検索結果から除外された。これはDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づくクレームにGoogleが対応したものだった。申請が通ったのは集英社や小学館など日本のマンガ出版社ではなく、なぜかカナダの女性向け恋愛小説出版社「ハーレクイン・エンタープライズ」と、同日本支社であるハーパーコリンズ・ジャパンだった。

また、菅義偉官房長官(69)も3月19日の会見で、漫画村をはじめとする海外サイトに対し 「被害が深刻化している。サイトブロッキングを含めてあらゆる方策の可能性を検討している」と説明。6日には朝日新聞などが「政府は「海賊版サイトへの対策は緊急を要する」として、4月中に接続を遮断する『サイトブロッキング』をプロバイダ各社に対して要請する準備を進めている」と具体的なスケジュールまで報じていた。

そんな中、著作権侵害サイトであっても、政府による「サイトブロッキング」は違法だとして、反対を表明する団体もいくつか登場。コンテンツ文化研究会やモバイルコンテンツ審査・運用監視機構、インターネットコンテンツセーフティ協会などが、政府のブロッキング要請に対する反対を表明している。

たしかに、中国のように政府がサイトをブロッキングし始めると、体制に都合のいいものしか閲覧出来なくなってしまうのではという、万に一つの危惧はある。だが、それでは漫画村をどう取り締まるのか。まさか「対話」を呼びかけ続ければ説得できるというのだろうか。漠然と妄想しうる、国民権利の喪失の可能性を杞憂するより、まずは同じく日本国民であり、クールジャパンの屋台骨でもある漫画家らの著作権を考えるべきなのではないだろうか。