「政策議論ができないなら、せめて邪魔はしないでほしい」。麻生大臣のG20出席を了承しない野党に、国民の悲鳴がおこっている。

米国・ワシントンで開かれる「20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)」(今月19日、20日)について、野上官房副長官は18日の衆議院議院運営委員会・理事会で、麻生財務大臣(77)が19日から22日の日程で同地を訪問することへの理解を求めた。

ところが、野党側から反対の声が相次ぎ、なんと了承されず。自・公両党、そして日本維新の会が「国益の観点から、会議に出席すべき」と訴えても、立憲民主党や希望の党が「森友文書の問題や、福田淳一事務次官のセクハラ発言などへの対応を優先すべきだ」などと、麻生大臣の訪米を認めなかったという。

目を疑ってしまう野党のまさかの暴挙。これまで度重なる国会審議の中断をしてきた野党だったが、その反対する根拠の一端には国と国民を思えばこその「正義」が残されていると信じていた。問題の是非ではなく、とにかく自民の足をひっぱれるなら何でもやるのか。

NHKがこの報を伝えるや、ソーシャルメディア上でも怒りの声が殺到。「もはや条件反射で何にでも反応するロボットにしか見えない」「G20よりセクハラが大事って! もうコント見てるみたい」「確信したわ、もう政権を獲る気はサラサラ無いんだろ」「自民の敵じゃなくて国民の敵。助けて安倍さん、早く帰ってきて」などと呆れ返る意見があふれた。

米・中間で深刻化する貿易摩擦。そして、保護主義的な傾向は米国のみならず、中国やEU諸国にも広がりつつある。また、米・英・仏のシリアでの軍事行動でロシアとの対立が金融や経済にどう影響を及ぼすのか。目まぐるしく動く国際経済の中で、まさか麻生大臣がG20に出席しないなどという選択肢はありえるだろうか。

国会開催中の閣僚の海外出張については、憲法第63条と国会法第71条に基づき、議院運営委員会・理事会で可否の審査後に行われるのが基本である。麻生財務相が欠席となれば、代わりに浅川雅嗣財務官がG20に発言することになる。だが幸いにも、この協議には強制力はない。それゆえ同日夕方には「麻生氏は強行に出席の意向を固めた」とする政府筋の談話をロイターが伝え、ネット世論はそれを歓迎する声をあげた。

北朝鮮情勢をめぐり「日本は蚊帳の外」と揶揄していた野党が、日本を世界の蚊帳の外に追いやろうとし、国内世論から蚊帳の外のごとき残念な反応を受けている。度重なる疑惑に揺らぐ安倍政権だったが、結局は待たずして、消去法により浮上することになりそうだ。