いいかげんにあきれ果ててるのだが、加計学園問題で愛媛県から新文書なるものがでてきた。
「安倍首相が『獣医大学はいいね』」愛媛県新文書に記録:朝日新聞デジタル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180521-00000060-asahi-pol
朝日新聞はまるで総力を結集したかのようにその「新文書」なるものを記事を何面も利用して詳細に掲載した。ただ要点はひとつである。2015年2月25日に加計学園の理事長である加計孝太郎氏が安倍晋三首相と会って、自らの獣医学部構想を話し、それに対して首相が「獣医大学はいいね」と答えたというのが重大な問題らしい。なぜならば、朝日新聞をはじめ多くのメディアによれば、従来の安倍首相の国会での答弁は、2017年1月まで加計学園の獣医学部の件について首相は知らなかったということだからだ。国会での答弁と事実は矛盾する、「安倍首相は嘘つきだ」ということになるらしい。
まったくメディアの悪だくみにもあきれる。これは森友学園問題の方で「首相と首相夫人が関与していれば退陣」という安倍首相の国会答弁ことを利用した安倍政権叩きとまったく構図が同じだ。森友学園の方は、少しでも首相と首相夫人が「関係」していればそれを大騒ぎして批判する手法がとられている。しかしそもそもの首相の国会での答弁は、正確には土地取引や価格交渉に関与していれば、という文脈のものだった。そういう文脈を無視して、まるで籠池氏と首相が電車の中で隣り合わせになっただけでも大騒ぎするような印象報道がなされている。この種のバカ騒ぎの狙いは、単に安倍政権へのイメージダウンを狙う政治的なものでしかない。ただそれはマスコミの情報を単に受け入れている人たちにはまたとない「疑惑の政治ショー」として消費されている。
今回の加計学園の件も首相の国会での答弁は、国家戦略特区への加計学園の関与を知ったのがいつなのか、という文脈での話である。加計学園が従来から獣医学部構想をもっていてそれを首相に話して、「獣医大学はいいね」と仮にいったとしても何の矛盾もない。そしてそもそもそれが何か重大な国家的損失なのだろうか? フェイスブックで他人の発言に「いいね」と押しただけで、首相退陣をせまるのと変わらない。批判するメディア、識者、そしてわずかでも立ち止まって考えることをしない読者・視聴者には「犯罪」的なものにみえるらしい。
さらに現段階では、首相サイドはその新文書に記載されている日時に加計氏と面談した記憶もないし、またその事実も確認できないという。官邸への入館記録などは廃棄されているという。また各新聞社などの首相動静には当日に(官邸・私邸含めて)面談の記載はない。しかしマスコミは記録になくても会ってないことを証明しろ、という悪魔の証明をまたいつものように要求している。例えばこの論説を読んでいるあなたが、昨日、宇宙人に会ってないことを近くの人に証明しろ、といわれたらどうだろうか? 証明の成功を祈る。
また官邸につながる地下通路からあったとか妄想も大変である。ちなみにその問題の日以外では、加計孝太郎氏と首相の面談は各社の首相動静などに書かれている。首相から「いいね!」と言われるためだけに忍者顔負けの努力が必要だったらしい。皮肉ぽく書いたが、わかりやすくいえば、このレベルのメディアの印象報道に翻弄されるならば、新聞の読者やテレビの視聴者側にも責任はあるだろう。いわゆる「ワイドショー民」にも深く反省を求めたい。こういうメディア(ネット情報ももちろん含まれる)に翻弄される習癖は、安倍政権の事例だけではなく、どんな話題でも問題になっていくだろう。
また報道では注目されていないが、そもそも新文書では、政府側の発言として、獣医学部構想についての技術的なアドバイスはあっても政治的介入はできないという政府側の発言も記載されている。つまり構造改革特区か国家戦略特区といういずれかの表玄関から戦略を練ってやってこい、というのが政府側の趣旨である。これで問題は終わりなのだが、どうしても大問題にしたいメディアの悪だくみに終わりは見えない。