ワット・アルンの歴史は古く、そのはじまりは14世紀に開かれたアユタヤ王朝にさかのぼります。

もともとは「ワット・マコーク」という名のごく普通の寺院でしたが、18世紀にトンブリー王朝を開いたタクシン将軍がここを王室寺院とし、名前を「ワット・チェーン」と改めました。

タイを旅行しているとよく耳にする機会のある「チェーン」という言葉は、タイ語で「夜明け」の意味。タイ人にとって、ワット・アルンはやはり、日の出のイメージなのですね。

現在の名称になったのは、トンブリー王朝が滅んだ後、19世紀のラーマ4世時代のことです。

ワット・アルンのアイコンが、トウモロコシのような形をした天高くそびえる5基の仏塔。大仏塔の高さは75メートルで、台座の周囲は234メートルもあります。

タイでよく見かける金ピカの仏教寺院とはずいぶんと趣が異なりますが、それもそのはず。

ワット・アルンはヒンドゥー教色の強いお寺で、中央の大仏塔と、それを取り囲む4つの小塔は、古代インドの世界観における聖なる山、須弥山(しゅみせん)を表しています。

「タイにインド発祥のヒンドゥー教?」と思われるかもしれませんが、タイの仏教寺院ではしばしばヒンドゥー教でおなじみの神様が祀られており、日本でも有名な象の神様ガネーシャなどはタイでも身近な存在です。

塔の周囲には、インドの叙事詩「ラーマヤナ」をもとにしたタイの民族叙事詩「ラーマキエン」に登場するガルーダやハヌマーン、鬼などの像が配置されています。

ワット・アルンの白い仏塔に近づいてみると目を奪われるのが、陶器による色とりどりの装飾。

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