■緊張と駆け引きの中で胎動する新・世界秩序、日本は?

第二次大戦後73年になる今年は、大きく世界秩序が変化する局面を迎えた。それはここ数年のさまざまな世界中の地殻変動や胎動を反映したもので、大きな歴史の流れである。歴史事実を客観的に捉えることが困難である以上に、同時代を的確に視ることの方が難しい。

1979年の米中国交正常化は、冷戦時代に米国がソ連を封じ込めるための戦略であったが、米朝首脳会談の前日、6月11日から米国でチャイニーズの入国ビザが厳しく制限されることになった。それは1979年の米中国交正常化からの流れと違ったものだ。その上、米朝首脳会談が行われる6月12日には、台湾の在台湾米国政府事務所(大使館に相当)が新築の巨大なビルの中にリニューアル開設される。しかも今後は世界各国の米大使館のように米海兵隊が警護をするという。事実上の大使館扱いではないか?

先週始まった日米印三カ国海軍共同訓練、「マラバール2018」は、日本海軍(海自)は連続3年の参加だが、今年初めて南シナ海で行われる。すでに南シナ海の中国共産党の違法な岩礁埋め立てによる南シナ海へのシナの覇権拡大を牽制する米海軍の「航行の自由作戦」に英仏両海軍が参加している。

そんな軍事的な緊張と駆け引きの中で、地政学的な優位を保つための外交と情報戦が展開されているのが世界の現状である。

6月8日に閉幕した今年のG7サミットは、昨年に引き続き安倍首相の存在が際立っていた。トランプ大統領の自由貿易体制を否定する言動が続くことから、米国が〈蚊帳の外〉になり、今や世界の動きを先頭で牽引するのが安倍首相である。

にもかかわらず、拉致問題解決に武力行使というカードも見せられないまま、日本の外交は片翼をもがれた状態で進むしかなかった。おまけに日本の朝日、毎日を筆頭とする反安倍メディアは、米朝会談や拉致に関して安倍外交を〈蚊帳の外〉と批判してきた。

だが、すでに多くの情報の受け手が認識しているように、〈蚊帳の外〉なのはそんなメディアであり、日本の主権や自主性を阻害して来た9条の改正を妨害し続けているのである。

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