かつて明治時代の日本において、多くの知識人や文化人が集まっていた場所、それが「喫茶店」。

そんな時代の流れを脈々と受け継いで今にその香りを届けてくれているのが「純喫茶」というジャンルのカフェ。

実は「喫茶店」にはかつて「特殊喫茶店」と呼ばれる、現在のクラブやキャバレーのようなものがあり、それと区別するために「純喫茶」と呼ばれるようになったという歴史があり、昭和の時代には非常に多く存在した純喫茶は残念ながら現在は少なくなってきている。

しかしながら味わい深い純喫茶で過ごす時間は懐かしさや愛しさに溢れており、時間を味わうためには最適な場所。

今回はそんな時の移ろいを素晴らしい雰囲気で味わえる「純喫茶」の1つをご紹介したい。

それが岡山県・倉敷市の「エル・グレコ」だ。

・大原美術館に存在している事が奇跡と言えるほどの名画、それがエル・グレコの「受胎告知」
画家として有名なエル・グレコの本名はエル・グレコではなくドメニコス・テオトコプーロスであることは絵画ファンでなくとも知っている人は多いかもしれない。

ギリシャ出身であることからイタリア語で「ギリシャ人」を意味するグレコに、スペイン語の男性定冠詞エルがついた通称で呼ばれるドメニコス・テオトコプーロスは、マニエリスム後期の巨匠として知られており、スペイン・マドリードにあるプラド美術館には、彼の作品が多数展示されている。

そんな世界的に有名な画家であるエル・グレコは「受胎告知」のテーマで多数の作品を残しているのだが、そのうちの一点が岡山県倉敷市の大原美術館には存在している。

そんな偉大な作家の名前を冠しているのが今回ご紹介する純喫茶「エル・グレコ」なのだ。

・緑と光のコントラストが美しい純喫茶、それが「エル・グレコ」
こちらの純喫茶の一番の特徴は、その店名に恥じない美しさ。

外観もさることながら、内観も素晴らしい緑と光のコントラストを感じる事ができる。

もちろん、調度品から砂糖やガムシロップの入れ物に至るまで、緑で統一されており、洗練された美しさを随所に感じる事ができる。

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