日本屈指の観光地だけあって、古今東西のおいしいものがひしめき合う京都。京料理に代表される和食がハイレベルなのはもちろんのこと、昔なつかしい洋食も見逃せません。

京都で最も有名な洋食屋さんのひとつが、平安神宮や京都市動物園などがある岡崎エリアに店を構える「グリル小宝」。

1961年の創業から変わらない味を守り続ける老舗で、祖父母、父母、孫と、3世代で通うファンも多いとか。「小宝」という店名には、初代の畠中百馬氏が修行した祇園の名店「たから船」への敬意が込められているといいます。

お店に近づくと、店内から漂ってくるデミグラスソースの香りに早くも期待が高まります。

お昼どきには行列ができるほどの人気店として知られ、濃厚なデミグラスソースを使ったオムライスは看板メニューのひとつ。「京都でオムライスといえばグリル小宝」といわれるほどです。

グリル小宝のオムライスは、薄焼き卵でケチャップライスを包み、上からデミグラスソースをかけた王道の一品。最近流行りの半熟卵をかけたトロトロのオムライスではなく、ふんわりと火を通した薄焼き卵でしっかりとご飯をくるんだ、昔なつかしいオムライスです。

このオムライスについて特筆すべきが、グリル小宝自慢の特製「ドビソース」。洋食に欠かせないデミグラスソースは、グリル小宝では「ドビソース」と呼ばれ、なんと2週間半もかけて作られます。

寸胴鍋ひとつ分のドビソースに、牛すじが40キロ、玉ねぎとにんじんがそれぞれ15キロも使われているというから驚き。

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