仮想通貨交換所「Zaif」は9月のハッキング被害によって約70億円の仮想通貨が外部へ流出した事件で、犯人が送金に使用したとされるIPアドレスの特定にホワイトハッカーが成功したと報じられている。犯人特定につながる重要な手がかりとみられているようだ。

ただし、犯人が特定されたら即、流出した仮想通貨が戻ってくる可能性は高い状況にない。Zaifの利用者がハッキング被害の補償を受けるためには、フィスコの持分法適用関連会社であるフィスコ仮想通貨取引所(FCCE)へのZaif事業譲渡を承認する必要がある。

フィスコはプレスリリースにおいて、「テックビューロと各利用者の契約及び両者間の権利義務のFCCEへの承継は、当該承継につき各利用者が個別に異議なく承諾された場合にのみ有効」と説明している。事業譲渡を承諾しない利用者とFCCEとの間には一切の権利義務関係は生じず、補償対象にならないことに注意が必要だろう。仮にFCCEへの事業譲渡を承諾せず、テックビューロとの利用契約を維持したいという選択をした場合、解散が予定されているテックビューロの残余財産から債権に応じた額が分配されることになるが、債務超過が予想されるテックビューロの残余財産は補償すべき額に満たない可能性が高い。

なお、FCCEへの事業譲渡を承諾したい場合、Zaifのログイン後画面で手続きができるようになっている。