こんにちは、新規事業とイノベーションに関する最新情報を発信する「Battery編集部」です。私はBatteryを運営する株式会社RelicのCOO、大丸と申します。ここではBatteryで話題になった記事を厳選してご紹介いたします

「仕事は早いほうが良い」

この言葉に疑義を唱える人は少ないと思います。あえてゆっくり仕事したり、なるべく時間をかけて仕上げたいと思っている人は(極稀なケースを除いて)ほぼいません。

では「仕事が早い人」にはどのような特徴があるでしょうか?「速さよりも早さ」がポイントです。

「仕事のスピード」の決定要因は?

仕事のスピードについて考えるには、まずはスピードを決定する要素を因数分解する必要があります。仕事の発生~完了までのステップのうち、スピードに関連するステップを整理すると以下の通りとなります。

 ①仕事の依頼主/発生元へのコミュニケーションのスピード/精度

 ②仕事の内容理解/初動までのスピード/精度

 ③完了までの道筋を立てる思考/設計のスピード/精度

 ④コミュニケーション/段取りのスピード/精度 (ひとりで完結する仕事は除く)

 ⑤オペレーション/作業のスピード/精度

仕事のスピードを上げたいと思うと、どうしても自分の視点(=作業そのもの)にばかり目が行きます。どうやってプレゼン資料を早く完成させるか(=作業)、どうやってデータ集計結果を報告書にまとめるか(=作業)等、上記⑤にばかり着目することが多くなります。

たしかにパソコンに向かって作業している時間そのものが短くなれば、改善効果が見えやすく、本人にも達成感が得られやすいという点で、この⑤の改善にやっきになってしまうのも頷けます。

一方で、仕事の発生~完了までの全体のうち、⑤の改善インパクトはどの程度でしょうか?根本的なスピード改善に貢献しているのでしょうか?

誤解を恐れずに言えば、仕事「全体」から見ると⑤による改善効果は微々たるもので、①に近いほどそのインパクトが大きい、というのが真実です。仕事の発生~完了までのステップのうち「仕事の発生に近い箇所=根本」に近づくほど、後続ステップに広く影響を与えるため、仕事全体のスピードを規定する要因になっているのです。

例えばネット通販サイトの問い合わせ対応の場合

①仕事の依頼主/発生元へのコミュニケーションのスピード/精度 がダメな場合

そもそも仕事が始まるまでに無駄な時間が発生しています。例えばネット通販サイトで問い合わせをしたのに、一週間後にようやく返信が来たらどう思いますか?依頼主としてはそもそも問い合わせを受け付けてもらえたかどうか不明なまま一週間もの時間が経っています。実は問い合わせをした翌日から顧客対応チームで調査を開始し、とても根深い/難しい課題を対処していたゆえに返信まで時間がかかってしまったという事情が仮にあったとしても、依頼主からすると一週間放置された=なんて遅いんだとしか思えず、もし一週間後の回答内容が素晴らしかったとしても満足度は低いでしょう。仕事が発生した直後のコミュニケーションのスピードは最重要です。

②仕事の内容理解/初動までのスピード/精度 がダメな場合

例えば問い合わせ内容の意味するところ、本当に困っていることが明らかになっていないのにも関わらず関係各所と連携して調査を進めても、依頼内容が不明確ゆえに無駄な時間がかかるだけでなく、的を射ない回答を生み出すリスクばかりが高まり、何も良いことがありません。①で即座にコミュニケーションを取りつつ、②としてファーストコンタクトの時点で確認するべき不明点を即座に確認するべきです。

③完了までの道筋を立てる思考/設計のスピード/精度 がダメな場合

例えば問い合わせ内容を受けて、手探りで調査をし始めたり、思いつきで依頼主と無駄なコミュニケーションを繰り返したりしてしまいます。思考/設計として差がつくのは、具体的なアクションに着手する前に、どのような最短経路でゴールに辿り着くかを考え抜けるかどうかです。問い合わせ回答までに必要な情報(ユーザー登録から購買までのタイムライン、過去の問い合わせ履歴、商品発送状況等)の優先順位や調査コスト等を総合的に判断し、どの部署にどのような依頼をしてゴール(的確な回答を依頼主に戻して満足してもらうこと)に向かうのが最短経路なのかを設計し、その優先順位に従って実行していくことが重要です。

④コミュニケーション/段取りのスピード/精度 (ひとりで完結する仕事は除く) がダメな場合

例えば問い合わせへの回答には同僚レビューと上長承認の2ステップが必須なのに、それらステークホルダーの予定を押さえたり、事前に概要だけ共有しておく等のコミュニケーションをとらず、いきなりデスクに押しかけてその場でレビューや承認を求めたことで、忙しいから後日にしてほしいと断られたり、最悪の場合は夏季休暇で来週まで戻ってこない等のクリティカルな問題が起きるかもしれません。ゴールまでの最短経路を設計したら、その登場人物への丁寧な事前コミュニケーションやスケジュール確保が肝要です。

⑤オペレーション/作業のスピード/精度 がダメな場合

例えば回答テキスト作成や画面操作スピードが問題になりますが、①~④のインパクトに比べれば圧倒的に小さく、数十分~数時間レベルの違いしか生まれません。もちろん、タイピング速度が遅い、EXCELの基礎的な関数も知らない等、ビジネスパーソンとしての基礎スキルが低すぎるのは論外ですが、この改善にばかりフォーカスを当てて改善しても得られる効果は小さいでしょう。

仕事が早い人の特徴

①や②はどれだけ上級者になっても、そのスピードや精度を高めていくことは可能です。特に仕事の難易度が上がり、規模が大きくなればなるほど③や④の重要度も高まります。当然⑤も大切な要素ですが、仕事の難易度が低い、複数人のステークホルダーが存在せずひとりで完結する、のような限定的な状況でない限り改善インパクトは小さいと言えます。

例えばプロジェクトマネージャーとして全体管理する仕事なのか、それとも手順書に従ってオペレーションしていく仕事なのかによって、①~④それぞれでのスピードの高め方、特に注意するべき観点/勘所が異なってくるのは自明です。いつも安定して仕事が早い人は、タイピングが早かったり計算が早かったり資料作成が早いだけの人ではなく、①~④が圧倒的に早い人ではないでしょうか?どのような仕事でも、全体のスピードを規定しているのは、①~④であることが大半です。この事実を理解し、当たり前のこととしていつも必ず、これらを高いレベルで遂行できれば、いつも安定して仕事が早い人になれると考えています。

もしあなたが仕事のスピードに課題を感じているとしたら、⑤のレベルアップを頑張る前に、①~④の現状のレベルを振り返り、見直してみることをおすすめします。結果、大きな改善が生まれ、大きな自信につながり、取引先や仲間から「仕事が早くなったね!」と評価を得られ、さらに仕事のスピードを高めていくキッカケになれば幸いです。

配信元記事:「仕事のスピード」を因数分解してみる(https://relic.co.jp/battery/articles/12938