歴史上、いくつもの大帝国の領土となったトルコ共和国最大の都市イスタンブールには、現在でも様々な時代の建造物が残されています。

世界遺産に登録されている「イスタンブール歴史地区」に残るゼイレック・モスクは、あのアヤソフィアに並ぶビザンツ建築の典型的な建造物であるということをご存知でしょうか。

いまからはるか900年も昔、1118年から1124年にかけて東ローマ帝国皇帝ヨハネス2世コムネノスの妻イリニ(ピロシュカ)によって、現在のゼイレック・モスクの場所に聖パントクラトール修道院が建てられました。

平行に3つ並んだ建物の外観を見てもわかるように、聖母マリアや大天使ミカエルなど3つの教会から成り立っていて、最盛期には今よりも規模が大きく、700人を超える修道士がいた時代もありました。

1204年、第4回十字軍にコンスタンティノープルが攻め落とされたとき、この修道院はヴェネツィア人に略奪されました。

その後、オスマン帝国の皇帝メフメト2世がコンスタンティノープルを攻略し、この街の支配者がムスリム(イスラム教徒)に代わってからは、イスラムの神学校として利用され、のちにモスクに改修されました。

ゼイレックというのは、神学校の初代学長の名前、モッラー・ゼイレック・エフェンディ(Molla Zeyrek Efendi)に由来します。

18世紀の地震と火事で大きな損害を受けましたが、1960年代からは修復が続いており、東ローマ帝国時代の美しいモザイクが発見されています。

モスク内部はきれいに修復されており、実際に中に入って見学することができます。

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