どこか大阪のような活気を感じる、韓国第2の都市・釜山。港町だけに新鮮な海の幸を使った名物料理がたくさんありますが、ほかにも見逃せないB級グルメがあります。

そのひとつが、プサンの繁華街・南浦洞(ナンポドン)に店を構える「シンチャントースト(新昌トースト)」。プサン通のあいだでは有名なお店ですが、知らなければ「プサンでなぜトースト?」と思うのも無理はありません。

韓国で「トースト」といえば、ホットサンドのこと。バターをひいた熱い鉄板の上で食パンを引き、卵焼きやハムなどの具材をはさんでいただきます。韓国ではこれが屋台の朝食メニューの定番で、シンチャントーストも路上屋台からスタートしたお店。

いまではトーストの専門店も珍しくありませんが、40年以上の歴史を誇るシンチャントーストは、釜山におけるトースト専門店の先駆けなのです。

無数の小さなお店がひしめき合う国際市場は、古くからの港町・釜山を象徴するような場所。周囲のお店がまだ開店を迎えていないなか、朝から人だかりができているお店がシンチャントーストです。

店の前の鉄板では、ご主人が見事な手さばきで次々とトーストを焼き上げていきます。見ているだけで気持ちいい、パフォーマンスの要素があるのも、このお店の人気の理由なのでしょう。

シンチャントーストの歴史は、40年以上前、軍隊を除隊したご主人が、ベトナムから戻ってきた友人にトーストの存在を聞かされたことにはじまります。興味を持ったご主人が南浦洞でごくシンプルなトーストを食べ、そのおいしさに衝撃を受けたことから、トースト専門店を創業。

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