一方で、国内に目を向けると、日本の金融業界も、この金融活動作業部会(FATF)の第4次対日審査を今秋に控える状況で、FATFによる主な審査対象として新たに仮想通貨交換業者が重点候補として挙がっている。

国際会議をはじめ、FATFの審査基準に沿った仮想通貨への取り組み、またマネーロンダリング(資金洗浄)対策に躍起になっている事例と言えよう。

同審査に関する一般ユーザーへの影響があり得る範囲としては、マネロン対策に係る内部管理体制不十分との指摘による、改善措置で一時的に営業が停止する事のほか、現段階では憶測の範疇にあるものの、今回の審査へ向けて、規制の矛先が向く可能性も無視できない。

デジタル課税への対処
二つ目に挙げられる内容が、電子化された国際取引の影響によるデジタル課税への対処だ。外務省が公開した成果文書の仮訳では、以下のように記載されている。

「特に租税条約や移転価格ルールに基づいた,世界規模で公正,持続可能かつ現代的な国際課税システムのための取組を継続するとともに,成長志向の租税政策を推進するための国際協力を歓迎する。
OECD/G20「税源浸食と利益移転」パッケージの世界的な実施は引き続き不可欠である。我々は,引き続き,経済の電子化が国際課税システムにもたらす影響に対処するため,2019年の進捗報告及び 2020年までの最終報告書により,コンセンサスに基づく解決策を追求すべく共に取り組む。」
(一部抜粋:G20 ブエノスアイレス首脳宣言)

この内容が仮想通貨投資家からも最も注目されている内容となるが、要するに、国際的なデジタル課税制度の整備へ連携していくと表明である。

これは、G20ブエノスアイレスサミットの首脳宣言にて、巨大IT企業の台頭を念頭に表明されたものであるが、共同宣言の内容では、仮想通貨課税に対して国際的決済システムの確立の必要性に初めて触れており、世界的な統一税制の策定の有無に注目が集まっている。

なお、この最終報告書の期限は2020年とされているため、今回大阪で開催される国際会議で進捗報告があるかどうかが焦点となりそうだ。

「統一した税制の枠組みの策定」への取り組みやその必要性は、経済協力開発機構(OECD)が2018年3月に発表、2018年3月のG20にてメンバー国に送られたレポートでも記載されている。

(記事提供:コインポスト)
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