JR東日本も前向きな姿勢を示す
ディーカレット社が27日に開催した「事業説明会」に筆頭株主として登壇した、JR東日本 常務執行役員の野口氏も、キャッシュレス領域に関わるデジタル通貨の重要性を以下のように述べている。
『我々の事業は、汎用な決済手段である「現金(日本円)」をチャージして利用するところからスタートしたが、昨今急速に台頭している「キャッシュレス化社会」の流れは大きく変わっていくと考えている。
国内のみならず、海外観光客によるインバウンド需要あるいは様々な年齢層の利用客がJRを利用している中で、デジタル通貨への対応は、お客様のニーズを満たす有力な選択肢の一つだ。決済と連携することで、顧客の利便性を高める時代になるだろう。
そういった意味で、デジタル通貨の発展には、大きな可能性がある。(新しいテクノロジーである)デジタル通貨と既存決済業界との連携については、「デジタル通貨からSuicaへのチャージ」を最初のユースケースとして検討している段階だ。JR東日本には、「次の当たり前を作る」というキャッチフレーズがある。ぜひディーカレット社と一緒に作っていきたい』
キャッシュレス普及のために、税制改正が必要な理由
一方で、仮想通貨決済を普及する上で、大きな弊害として見られているのが仮想通貨に関わる税制だ。
現状の仮想通貨税制では、「仮想通貨と引き換えに、経済的価値があるものを手に入れたタイミング」が課税項目として挙げられており、雑所得による高い税金区分が適応される。税金管理の複雑さや高い税率によるキャッシュレス普及への足枷になると見られている理由だ。
藤巻健史議員も、麻生大臣や国税庁に対し、国会(参院予算委員会)で追求しているが、仮想通貨税制に関して、「雑所得による総合課税ではなく、分離課税(最大税率20%)」の適用、及び「少額決済の非課税」、「仮想通貨間の売買を非課税」、「損失の繰越控除」は必要不可欠だ。
仮にJR東日本のSuicaなどで仮想通貨のチャージ機能が搭載されたところで、現行の税制では、チャージする度に課税扱いとなってしまうため、法定通貨である日本円のチャージと比較してメリットが薄い。
海外観光客に対するインバウンド需要自体は期待出来るものの、現状の税制のままだと国内で普及することは容易ではなく、ただでさえキャッシュレス分野で海外に遅れを取る中、さらにその差が拡大し、国益を損ねる事態になりかねない。
そのような状況にある中、「仮想塚税制を変える会」を発足し、精力的に活動している藤巻議員は以下のように述べ、順調に進んでいると手応えを感じている。
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