ゲートをくぐり、長い階段をのぼった先には、ヨーロッパ風の塔があるかと思えば、中国風の役人やゾウ、馬の石像が。皇帝の功績が書かれた碑石が置かれている碑亭に施された龍の瞳には、フランスワインの瓶が使われています。
フランス統治下で、フランスに擁立されたという背景も手伝って、カイディン帝はフランスに対して融和的でした。1922年に開催されたマルセイユ殖民博覧会に出席してからはさらにその傾向が強くなり、自身の陵をバロック様式で建設するよう命じたのです。
先代の帝陵と比べると規模こそ小さいものの、装飾の豪華さは抜群。入口から120段の石段をのぼったところに建つ啓成殿に足を踏み入れると、アジア各地から集められた瓶や陶器の破片で飾られた豪華な空間に息を呑みます。
四季を表現した壁面のモザイクには、なんと日本のビール瓶が使われたものも。目を凝らして、「SAKURA」と記された破片を見つけてくださいね。
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