外観の壮大さもさることながら、内部装飾の美しさも必見。ドーム天井には精緻なアラベスクやカリグラフィーで彩られ、その下には、たたみかけるようにアーチが連なっています。内部に足を踏み入れた瞬間、あまりの美しさに息を呑むことでしょう。

セリミエ・ジャーミィの礼拝室の特徴は、内部がとても明るいこと。100枚以上の窓から、神の象徴である光をふんだんに採り入れる設計になっているのです。柱の配置を最小限にすることで、空間の一体化も叶えられました。

セリミエ・ジャーミィ内部で有名なのが、「逆さチューリップ」の存在。アーチに囲まれたミュエッズィン席の石柱には、逆さまに彫られたチューリップがあります。

「セリミエ・ジャーミィ建設のための用地買収になかなか応じなかった地主のひねくれた性格を表している」、あるいは「建設期間中に亡くなったスィナンの孫娘への哀悼の意を表している」など、その由来にはいくつかの説が。

あまりにも有名で、多くの人が触れたことでずいぶんとすり減ってしまい、今はカバーが付けられています。このほか、モスク内部には全部で101のチューリップがあり、それぞれに色や形が異なるといわれています。

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