標高2500メートルを超えるウル山の麓に広がるトルコ北西部の街、ブルサは、かつてオスマン朝の最初の首都がおかれた場所です。

この街を首都と定めたのは、オスマン朝初代スルタンのオスマン1世でした。

1258年に生まれたオスマン1世は、物心がついたころ、とある長老の娘に恋をしました。ある日、オスマン1世は夢を見ました。長老の胸から月が昇り、月は自分の胸に沈みました。するとオスマン1世の胸から大きな樹木が生え、その根はチグリス、ユーフラテス、ナイル、ドナウの河川を形成し、葉はコンスタンティノープルの方向を指していたといいます。

オスマン1世はこの夢のことを長老に語ると、「この男はいずれ世界を征服する者となる」と予言され、長老は娘とオスマン1世を結婚させたという伝説が残されています。

オスマン1世は1299年、ブルサのイェニシェヒルを占領し、ルーム・セルジューク朝から独立を宣言し、オスマン朝最初の首都を定めたのです。これが、のちにヨーロッパ、中東世界で驚異的な存在感を見せつけることになる、オスマン帝国の始まりとなったのです。

オスマン1世の死後は、長老の娘とオスマン1世との間に生まれたオルハンが皇帝の座に就きました。オルハンは父の遺志を受け継ぎ、ブルサの中心部を征服、さらにバルカン半島の方にまで勢力を拡大していきました。

1330年代、オルハンはブルサの聖エリアス教会をモスクに改修してそこに父オスマン1世を埋葬しました。モスクは火災や地震などで、長い歴史の中で幾たびも損傷を受けてきましたが、いま現在でもオスマン1世そしてオルハン自身の棺もそこに設置されており、トルコ各地から彼らの魂の平安を願って訪れる人たちが後を絶ちません。

オスマン帝国の超初期のスルタンたちが眠る霊廟は、ブルサのトプハネ公園内にあります。高台にあるのどかなこの公園からは、ブルサの街を一望することができます。公園の敷地内には霊廟のほか、景色を眺めることができるカフェやレストランもあり、トプハネ公園とオスマン・オルハンの霊廟は、ブルサ観光には欠かすことができないスポットの一つとなっています。

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