プロセスマネジメントアワード2019が開催された。営業を科学的に調査・研究し教育活動を行う一般財団法人プロセスマネジメント財団(東京都千代田区)が主催する当アワードでは、科学的組織営業手法「営業プロセスマネジメント」を実践して、実際に営業改革に成功した企業の取り組みの発表や表彰がされる。グランプリに輝いたのは「佐賀ダイハツ販売株式会社」。顧客の潜在ニーズに寄り添って、ユーザーの真に求める提案を成功させた。
「プロセスマネジメント」とはなにか
プロセスマネジメントとは、目標から逆算して営業のプロセスを設計し、プロセス・行動を管理することで結果を最大化するマネジメント手法のことを言う。根性論ではなく、定量的に数値数量に基づいてマネジメントすることで営業活動を科学的に再現、確認できるようにする。
プロセスマネジメントをセールスに活かすために、まずセールスフローの中でどのような行動をしているのか、結果に至るまでの行動を細かく洗い出して分解、実際に業務プロセスに落とし込む。さらにその中で重要なポイントは何か、キーファクターになる要素を抽出する。そうすることで、営業パーソンが成果を上げるためにすべきことは何か、逆にしなくていいことは何か、プロセスが見えてくる。
プロセスが明確になれば、あとは目標予算金額から訪問数、案件化数など各プロセスの必要な行動量まで逆算してKPIを設定することができる。必要なのは、気合い・根性などの精神論だけではなく、成果を上げるためにすべきこととそうでないことを区分けし、実行フェーズまで落とし込むことなのだ。そうすれば明後日の方向に努力をして疲弊する必要もない。
プロセスマネジメントは、プロセスを明確にして終わりではない。部下だけ、または上司だけが理解をしても意味がない。お互いが共通の認識を持つことで実践しやすくなる。そうやって上司と部下がセットで学ぶダブルラーニングによって、スムーズに組織に導入し、仕組み化していくことができるのだ。
属人化から脱却とは
上司の感性だけで育成状態を評価する属人化された状況はよくない。これは評価をする人が変わると、評価基準自体がブレてしまうからだ。これでは、成長をしようにも、毎回違うゴールに向かって走らされるようなものである。
評価するには項目を明確に定める必要がある。これによって成長の見える化がされる。同時に、評価する人が変わったとしてもブレがない。成長する方針が変わらないから、効率的に伸ばしていくことが可能になる。
育成される側もまた、能力が見える化される。得意分野や苦手分野、何が足りてないのか、どんな特性があるのかが一目瞭然となる。きちんと人材を育成する仕組みが整えば、年齢に関わらず、必要な能力を高めていく状況を作り出すことが出来るのだ。
項目が定まっていれば、ロールプレイによる教育が意味を持つ。積み重ねるごとに、やるべき経験値が溜まっていく。そして、着実に一歩ずつ階段を登っていくことができる。そうすれば、営業の成果はどんどん高まっていく。
顧客への寄り添いを効率化する時代へ
効率的な営業を実現する組織になったならば、あとはどのような営業を心がけていくべきか、注力すべき部分も見えてくる。これからの時代は、売り切りではなく、顧客への寄り添いを中心に据えるべき時代がやって来る。
良いパートナーとなることで利益は年を追うごとに伸びていくようになる。顧客が笑顔になるより良い役割を果たすことによって、誰もが笑顔になれるわけだ。
そんな明るい未来を目指すビジネスを、すべての企業が実現できる日は来るのか。これからの「営業プロセスマネジメント」の進化と広がりに期待したい。