2017年2月に埼玉県入間郡三芳町で発生したアスクル倉庫火災。事務用品などの通信販売を手がけるアスクルの大規模な物流倉庫が燃え、鎮火まで12日間を要した。様々な課題を残した事故だったが、その教訓を活かす形で倉庫の再建が行なわれ、1月29日に次世代物流センター「LOGI'Q三芳(ロジックみよし)」として再スタートを切った。

消防ガイドラインを上回る防災対策

「LOGI'Q三芳」を竣工させたのは東急不動産。火災後にアスクルより土地と建物を購入した東急不動産が建て替え事業を担当した。LOGI'Q三芳はアスクル専用の物流施設であり、アスクルはテナントとして同施設を借りる形で運営を行なう。

東急不動産は2016年より物流施設開発事業に参入。1月29日に開かれたLOGI'Q三芳のメディア内覧会で、東急不動産の岡田正志副社長は「LOGI'Qは当社の物流事業のフラッグシップ。昨今の物流を取り巻く雇用の問題を受けて、東急不動産グループならではの新しい働き型の提案など、様々なチャレンジを行ないます。LOGI'Q三芳はその第一弾という位置づけ」と意気込みを語った。

内覧会での事業説明によると、LOGI'Q三芳には「地域に貢献し調和できる施設をつくること」、「近隣の皆様、従業員の方々が安心し安らげる施設をつくること」という2つのコンセプトがあるという。

このコンセプトのもと、周辺地域との共生のため、三芳町の「三富新田」をモチーフにしたデザインを外観に取り入れ、電灯も周辺の農作物に影響が出ないように設置。地域住民が利用できる遊歩道「ひとときストリート」も作られた。

安心安全の追求として、施設内には消防ガイドラインを上回る防災対策が施された。最上位機能を持つスプリンクラーを設置し、2階以上の外壁には非常用侵入口が設けられている。

東急ハンズと東急スポーツオアシスとの連携も

LOGI'Q三芳では、物流事業における新しい働き方の提案も行なわれる。東急不動産ならではの取り組みとして、東急ハンズによるプロデュースで施設内に従業員のための休憩スペースとして、木のぬくもりが感じられる「みはらしテラス」が作られた。

東急スポーツオアシス監修による「ちょいトレパーク」では、健康遊具が利用できる。駐車場の近くに設けられ、従業員が出勤・退勤時に立ち寄って健康維持のために身体を動かすことができる。

内覧会が行なわれたこの日には、東急不動産の岡田正志副社長やアスクルの吉岡晃CEO(写真の左から3番めの人物)らによるテープカットで竣工が祝われた。吉岡CEOは、「火災で近隣の方々に御迷惑をおかけした中で、近隣の方々からもご意見をいただいて、消防の方々と一緒になってこのセンターを作っていただいたことには感謝しかありません。地域と共生して、安心安全な施設を実現していきたい」と、火災から3年を経ての思いを語った。

LOGI'Q三芳は3月以降より順次稼働していき、本格的な稼働は今年の中盤以降を予定しているという。