オーストラリアの南部に位置する南オーストラリア州にある州都アデレード(Adelaide)をご存知でしょうか。

アデレードは、アメリカやヨーロッパの各都市から最も遠いと言われ、「世界から隔離された都市」として知られていますが、近郊には「最古のドイツ人入植地であるハーンドルフ(Hahndorf)」など、ヨーロッパ系の文化が色濃く残る街でもあります。

アデレードという言葉はドイツ語由来で「貴婦人」の意味をもちます。イギリス国王であり、ハノーファー王国(1814年−1866年)王だったウィリアム4世(1765年−1837年)の王妃アデレードに因んで名付けられました。

南オーストラリア州が植民地化されたのは1836年のことです。ニュー・サウス・ウェールズ州都シドニーやタスマニア州都のホバートと異なるのは、アデレードが初の自由植民地であること。

受刑者の土地としての歴史はなく、市民として自由が保障されていました。入植当時はオーストラリアで唯一自由に定住できる土地で、計画首都として成立していきました。

現在でも、古い歴史を残したまま、文化・芸術や商業の中心地であることがうかがえる街です。

ここで古い歴史を持つ建築物をいくつかご紹介しましょう。

20世紀(1901年から2000年)で最も高かった建築物(48メートル)である時計塔、ビクトリア・タワーがアデレード市内の中心地にあります。

建物自体は1872年から2019年まで147年間、総合郵便局として使われていました。建物の基礎には、1867年に基盤となる石が据え置かれたことを示す記念碑が埋め込まれています。

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