ややあって2019年2月、2018年2月~6月のマウントゴックスによる仮想通貨売却の具体的な日程がリークされる。情報サイトDoxGox.comが2019年2月にリークした東京地裁の関連記録から管財人の管理する銀行口座情報に、上述の4か月間において仮想通貨取引所ビットポイント・ジャパンから計25回:総額343億4658万1104円の振り込みがあったことが判明する。

マウントゴックスの管財人がBTCとBCHの売却を公表する「2017年9月以降2018年3月7日まで(約430億円)」と「2018年の3月7日から6月22日(約260億円)」の中でも、とくに同社の売りが集中したと推測されるのが、BitPointの入金が頻繁にあったことがみとめられる2018年2月から6月の期間だ。

管財人によって断続的に売りが実行された2017年9月~2018年2月(推定額約346.5億円)における具体的な売却日は不明のためBTC相場への影響が分析しにくいが、売却が集中した事が確認できる2018年2月~6月(推定額約343.5億円)、特に売りが集中した5月にはBTC相場の下落が確認される。これは、マウントゴックスによる仮想通貨の大口売却報道が頻出した時期を振り返ると、やはり実際の売却が集中した時期と重複する。

マウントゴックスの大口売却報道が過熱した5月、BTC相場は下落した。事実として、マウントゴックスによるBTC売却が多発した時期であったため、数々の報道は相場操縦を意図したものではなく、実際にブロックチェーン上での大口の資金移動を確認したものだったであろう。ただし、報道の多くが投資家心理に与えた影響は決して小さなものではなかったと予想される。実際にはマウントゴックスによるBTC売却は2017年9月から開始されていたが当時はまだ売却の事実は発覚しておらず、当時のBTC相場は上昇の一途を辿っていた。

もちろん仮想通貨市場に影響を与える要素は多様で、その仮想通貨の需給設定の引き締まりやソフトウェアのアップデートなどの技術関連のイベントや、地政学的な側面などさまざまだ。BTC相場においても、当然マウントゴックスの事象ひとつのみをとって相場の上下を語ることはできない。

しかし、マウントゴックス売却報道とBTC相場とは、2017年のBTC価格高騰以降に乱立状態となった仮想通貨メディアや個々人による仮想通貨関連の情報発信も相場に大きな影響を与え得るというひとつの例といえる。

参照
■マウントゴックスの情報開示(売却金額について言及、2018年3月と2018年9月)
2018年3月報告書
http://www.mtgox.com/img/pdf/20180307_report.pdf

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