そして娘の18歳の誕生日、皇帝はプレゼントとして、籠いっぱいの果物を娘のいる塔に持っていきました。無事18歳の誕生日を過ごすことができるかのように思えましたが、なんと不幸なことに、この籠に毒蛇が隠れていたのです。娘は毒蛇に噛まれ、予言通り皇帝の腕の中で18歳の誕生日に息を引き取ったといいます。

またこれとは別に、ギリシア神話に登場するヘーローとレアンドロスに関する伝説も残されています。

ヘレスポントス、つまり現在のダーダネルス海峡のヨーロッパ側の岸にある塔に住む女神官ヘーローに、アジア側の岸に住む青年レアンドロスは恋をしました。レアンドロスは対岸のヘーローに会うために、毎晩ダーダネルス海峡を泳いで渡りました。ヘーローは塔から明かりを灯し、レアンドロスはそれを目印に恋人のところへとやってきました。二人は夏の間、恋人同士の時間を過ごしました。

ある冬の嵐の夜、いつものようにヘーローのもとへと向かおうしたレアンドロスは、嵐がヘーローの明かりを消し去ってしまい方向を見失い、波にのまれて溺死してしまいました。目の前で恋人が死んでいくのを目の当たりにしたヘーローは発狂し、後を追うように嵐の夜に自ら海峡に身を投げたといいます。

ダーダネルス海峡がボスポラス海峡に地理的にも近く似ているため、この物語に因んで名づけられたとも考えられています。

ユスキュダルの街、そしてボスポラス海峡をもより魅力的にする要素のひとつである「乙女の塔」には、実はこのような伝説があったのです。

名前は可愛らしいのに、実は悲しい言い伝えを持つ「乙女の塔」。このような言い伝えを知ってからユスキュダルを訪れると、イスタンブールのアジア側の観光がより奥深くなるかもしれません。

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名前 乙女の塔(Kız Kulesi)
所在地 Salacak, Üsküdar Salacak Mevkii, 34668 Üsküdar/İstanbul

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