東洋と西洋の文化が混じるトルコ最大の都市イスタンブールには、その歴史の深さを教え示してくれる博物館がいたるところにあります。ミュージアムパスを購入すれば、トプカプ宮殿やアヤソフィア博物館、ガラタ・メヴラーナ博物館、カーリエ博物館などの複数の施設に割安で入場することができます。
そんなミュージアムパスを使って入場することができる施設の中のひとつである、「国立考古学博物館」の魅力をご紹介しましょう。
「国立考古学博物館」トプカプ宮殿の第一庭園の北側にあり、旧館、新館、古代東方博物館、装飾タイル博物館で構成されています。
この博物館の設立は、19世紀に西洋化に感化されたオスマン帝国の政治家たちによる博物館設立の案がきっかけでした。1860年代にパリやロンドン、ウィーンを訪問して考古学博物館に深い印象を受けた当時のスルタン、アブデュルアジズが、イスタンブールに考古学博物館建設の命を下したのです。館長の辞任や予算の関係で設立は遅れたものの、1881年に画家で考古学者のオスマン・ハムディ・ベイが館長に任命されると、彼は帝国各州から文化遺産を収集し、たちまち博物館は膨大な量のコレクションを要するようになったのです。
代表的なものは、1887年にレバノンで発見された「アレキサンダー大王の石棺」や、エフェスで発見されたギリシア神話に登場する海の神「オケアヌス像」、マニサで発見された「アレキサンダー大王の立像」、メソポタミアの古代都市バビロンの北域にあるイシュタル門への道を彩るレンガパネル、金角湾を封鎖するために使われていた巨大な鉄の鎖、オスマン帝国時代の貨幣や勲章などです。
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