海外の関連銘柄では、いずれの期間でもBTC価格が上昇を始めて1週間後には株価も上昇し始めており、株価の反応は日本よりもかなり早い。ただし、大きな反応が見られたのは仮想通貨事業に特化しているCanaanとHut8、HIVEなどが主であり、例えばICEやCBOEといった他の事業も手掛ける企業の株価にはほとんど影響が見られなかった。例外的に、決済大手のスクエアはビットコイン購入サービスを開始した17年11月がちょうどBTC相場上昇の時期と重なっていたこともあり、株価が大きく上昇した。日本のみならず、海外でもBTC価格に強く株価が影響を受ける企業は限られる。

例えばHut8の株価は19年3月−6月の期間に360%上昇しており、他の海外仮想通貨専業の銘柄でも2社が19年12月−20年2月の期間に150%を超える上昇となったが、国内ではいずれの期間においても150%を超える上昇は見られなかった。国内の関連銘柄には仮想通貨専業の銘柄がまだないことに加え、株価が反応するタイミングが海外よりも遅いことを鑑みると、国内でこうした強い反応を期待するには、1万ドルなどの心理的節目となる価格を一定の期間、明確に上抜けることが必要だろう。

最後に、米市場に複数存在するブロックチェーン関連ETFの価格を観察した。観察したのはGFIN、LEGR、BLOCK、KOIN(いずれもティッカーシンボル)の4つだ。それぞれの構成銘柄数は120、104、58、45(3月4日時点)で、ブロックチェーン開発に従事する欧米や日本、中国、韓国などの大手企業が名を連ねており、業種は金融機関や技術関連、コンサルティング大手などが含まれている。いずれのETFもBTCの上昇期に目立った価格の上昇は見られず、「BTC価格の上昇の恩恵を享受する」という目的は適っていない。

なお、足元の仮想通貨市場の急落を受けて、海外のマイニング企業であるHIVE、Hut8、Bitfarms、Canaanは3月6日前後から株価が急落している。ビットコインは5月11日頃に半減期(マイニングの報酬が半減するタイミング)を通過する予定だが、マイニング専業企業の今後の動向を見る上でもこうした企業の株価の動きが注目される。

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