伝説のTV番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』などを手がけたことで知られる、演出家・テリー伊藤さん。テレビの世界だけでなく、幅広い分野で活躍するテリーさんは書籍も多数発表している。そんなテリーさんが新しい書籍を7月17日に竹書房から発売した。そのタイトルはズバリ、『老後論』である。

自身が団塊の世代であるテリーさんが、老後の人生について説いた本書。「老後はバラ色だ」と無責任に持ち上げる内容ではないし、反対に「老後は地獄だ」と不安を煽る内容でもない。その独特の肩の力が抜けたユーモラスなスタンスは「この期に及んでまだ幸せになりたいか?」というサブタイトルにも表れている。

たとえば、孤独死に関してテリーさんはこう説く。

だが、私に言わせれば孤独死なんてあたり前のことなのだ。人の死は、すべて孤独死。孤独死以外の何物でもない。たとえ、死の瞬間に100人の大家族に囲まれていたとしても、死ぬのは自分ひとりだけ。「あー、この中で俺だけが死ぬんだな」と思いながら死ぬのだ

「孤独死は問題だ」と騒ぐのは、当然ながら死んだ人ではなく部外者だ。

もちろん、「誰かに看取ってほしかった」と考えながら亡くなる人もいるかもしれない。だが、孤独を愛して「ひとりでひっそりと死にたい」と考える人も間違いなくいるだろう。

そういった人の意向を無視して、「孤独死はよくない」と一方的に判断するのはよくない

孤独死に関するメディアの主な論調は「悲惨なものだから、避けなければならない」というものだが、このようにテリーさんは孤独死なんて当たり前と笑い飛ばしているのだ。 

終活ってシケてないか?

また、死にそなえて行なう「終活」が広く世に知られるようになったが、この終活もテリーさんは「シケてないか?」「まったく終活に興味が持てない」と一刀両断。

終活で家族への感謝の手紙を書くこともあるそうだが、そんなことやりたくもない。さんざん浮気をしてきたくせに、最後に帳尻合わせをするみたいにいい人ぶったって馬鹿みたいだ。そんなものを書くほうがカミさんに怒られるだろう。

だって、葬式にはこれまで付き合ってきた女の子が10人ぐらい来る可能性がある。そんな状況で、カミさんに感謝の手紙なんかを書いたら、カミさんにも女の子たちにも失礼だ」と、赤裸々かつユーモラスに持論を展開している。

ビートたけし、稲川淳二、高田純次、小倉智昭、泉谷しげるなどといった団塊の世代の有名人をテリーさんが独自の視点から論じる章も用意されていて、『老後論』は非常に読みでのあるものとなっている。

老後の生き方についての様々なヒントが詰まった内容で、団塊の世代の人はもちろん、これから老後を迎える若い世代の方々にもおすすめしたい1冊だ。